真冬のスペイン巡礼記

2018年1月、ブルゴスからサンティアゴ・デ・コンポステーラを巡礼してきました。

真冬のスペイン巡礼記~はじめに~

2018年1月2~27日にスペインの巡礼路を歩いてきました。

フランス人の道を途中から。ブルゴス~サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの巡礼記録です。

 

30代ど真ん中、女性。

海外旅行は修学旅行以来。バックパッカー経験なし。

英語もスペイン語も碌に話せない。謙遜じゃなく機内食の選択でまごつくレベル。

20代の頃のような体力はなく、普段はデスクワークで特にアウトドア趣味でもなく、むしろここ数年はスニーカーすら持っていなかったのに勢いで500キロ歩くとか言いだしてスペインに行って帰ってきました。

そういう人でも安全第一で準備をしていけば何とかなるし超楽しいよ、というサンティアゴ巡礼の宣伝と、後は自分が巡礼の情報を探した時に日本語で真冬に歩いてる人の記録をあまり見つけられなかったので、なにがしかの参考になればと思って記しています。

先に書いておくと、途中日程と天候の都合でバスに乗りました。巡礼後半最大の難所と言われるイラゴ峠~セブレイロをすっ飛ばしています。結果歩いた距離は400キロ弱になりました。

全部歩けなくても、それぞれのやり方で楽しめばいいんじゃない、と思える人向けのブログです。

 

きっかけ

2018年夏。少し前から仕事を辞めようかどうか悩んでいました。

そんな時に中山可穂さんの小説でサンティアゴ巡礼を知りました。

 

愛の国 (角川文庫)

愛の国 (角川文庫)

 

 

記憶喪失の主人公・王寺ミチルが四国遍路とサンティアゴ巡礼の道中で失った記憶と恋人の死の真相を探す話。

ちなみにこの本は三部作の完結編なのでもし読まれるのならば、恋人久美子と出会ったきっかけ、そしてヨーロッパを旅する話でもある前作「天使の骨」を先にお読みになるのをおすすめします。単独でも読めますが前作知ってるほうが絶対にいいやつです。

 

 

 

天使の骨 (集英社文庫)

天使の骨 (集英社文庫)

 

 

読みながら、ああ天使の骨を読んでいた頃はこんな旅がしたいなあと思っていたなと学生時代を懐かしく思いだしたり。当時は一人暮らしかつ学費と生活費を稼ぐのに精一杯で、住んでいた部屋を長く空けて旅行に出るなんて実現不可能な夢でした。

旅の風景や、巡礼特有の雰囲気が気になってこの巡礼路って実在するの……? と巡礼ブログを漁っては読んだ夏の終わり。決まったルートがあって学生から定年後のご夫婦や親子連れまでいて、これなら私でも歩ける? 仕事辞めるんだから行けるんじゃね……という気持ちがムクムク育っていく。

そこから五か月で実際に行っちゃったやつです。

秋、年末に仕事を辞める事を決め、有給が一か月分余ってるから旅に出られるとパスポートを取ったものの、一人で本当に行けるのか迷う日々。

トレッキング用の靴を買い、リュックを買い、寝袋を買い、自分本当に行く気なの、と何度も自問自答しつつ下調べし、少しずつ必要な道具を揃え、ついに航空券を買ったのが12月の初め。

航空券買って後戻り出来なくなってから周りに話し、マジで行くのかとか何があったのとか生きて帰ってこいよとか色々言われたりしつつ、退職前の引き継ぎなどに追われ、結局語学は殆ど上達しないまま出発の日がきました。

 

サンティアゴ巡礼とは

サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路 - Wikipedia

 

一言で言うと聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指して歩く旅です。

聖地へ向かう旅程の全てが巡礼、ですが長い年月の間に整備されてきた何種類もの「道」があり、世界遺産に指定されています。「道」そのものが世界遺産になっているのは今の所ここと日本の熊野古道だけなんだとか。

道中には巡礼者の為のお安い巡礼宿(アルベルゲ)があり、博物館などは巡礼向けの割引があったりします。

私が歩いたのは一番メジャーな「フランス人の道」のうち、マドリッドの北にあるブルゴスからスタートする500キロ弱の道程でした。

始める場所はどこからでもいいのですが、徒歩の場合は最後の100キロは必ず歩かなければ到着時の巡礼証明書を貰えません。

フランス人の道はその名の通りフランスとの国境付近から続く780キロの道です。フランス側にも更に道は続いていて幾つも枝分かれしており、長い人はこの道を千キロ以上歩いて聖地に辿りつく事になります。実際私が道中に会った日本人の大学生の男の子はイタリアからずっと歩いてきたと言っていました。

一番メジャーとはいえ、巡礼者自体が少ない1月ですから殆ど他の人に会わない日や、巡礼宿に着いたら私一人という日もありました。

また、泊まるつもりだった宿が閉まっていて予定外の距離を歩く事もありました。下調べしても予定外の事はある。

 

転職のタイミングで取れる長い休暇を巡礼に使おうと決めたのは、旅慣れていない私でも行けそうと思えたから。特に費用面と安全面。

 

費用面。大体の巡礼宿は5~15ユーロ、大きな街でも20ユーロあれば泊まれます。ここに10ユーロ足せばワイン付きの晩ご飯がセットになったりします。とにかく安い。両替時1ユーロ134円ぐらいで、一日の食事と宿で三千円しない程度で済む日も多かった。夕食を自炊したらもっと安くなる場合もあるんだと思いますが、食材を持ち歩くのも重いので私は最初から自炊はしないと決めて全て外食でした。

街中の飲食店でも巡礼者向けメニューというのがあったりして、10~13ユーロぐらいでワイン付きのボリューミーな食事が食べられました。

最初と最後のマドリッド泊、後巡礼途中で二回程ホテルにも泊まりました。それらと航空券と全部含めて25日間で20万掛かっていない(リュックや靴など装備品を除く)ので、ヨーロッパ旅行としては破格だと思います。これは道中食べたい物は特に我慢せず、お土産(家族にお菓子程度)とか、帰り際に空港で買物してユーロは使い切るぞ、とかも含めた結果なので節約すれば後数万円は安く出来ると思います。逆に大酒飲みはもう少しかかるかも。

 

安全面。巡礼はコースがあり、現在地付きで道案内してくれるスマホアプリもある。巡礼宿も登録されていて探しやすい。もちろんアプリに頼らず紙の地図で歩くのもありだと思うし、そういう人もいた。

play.google.com

ある程度定まった道があり、方向音痴でも道端の標識(とても判りやすい。だが私は何度も間違えた)に従って歩けばいつかは目的地に着く。道が決まっているので目的地だけを決めてバックパッカーするよりは計画を立てやすく、道中の宿もアプリ等で事前に値段や評価を確認しながら探せた。

巡礼宿に泊まるにはパスポートの提示の他に「巡礼手帳(クレデンシャル)」が必要。最初に数百円払って作るスタンプカードみたいなもので、行く先々の宿やバルやカフェでそれぞれスタンプを押してもらうので、巡礼者がどこから来てどれぐらい歩いているかそれを見れば一目瞭然。なので、巡礼宿は巡礼者以外の怪しげな人が入りこみにくい。

(実際は犯罪皆無なわけがなく、特に大きな街などでは巡礼者狙いの盗難などあるという話も聞いていたのでもちろん警戒はしていましたが、宿など泊まる際は同じ聖地を目指す人ばかりというのは安心に繋がりました)

 

同じ本に出てきた四国遍路もいいかなと迷ったのですが、やっぱり一番の決めては安価な巡礼宿があった事かな。お遍路は泊まる場所が結構高くつきそうで、読んだブログなんかだと野宿込みで回ってる方もいたけど、さすがに女性の野宿や単独キャンプは国内であっても安全面考えたら難しい……総費用があまり変わらないか下手したら四国のが高い……ならいっそ国外行っちゃうか、という事でスペインに決めました。

 

次回からが実際の旅行記です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サンティアゴ・デ・コンポステーラ

1/22(月) サンティアゴ・デ・コンポステーラ

 

朝九時にアルベルゲを出る。

黄色い矢印に沿って歩くのも最後だなあと思いつつ、ぼんやり歩いていたら矢印を見逃す。最後までよく道に迷う旅だ。

本当に、黄色い矢印とルートを示してくれるアプリや地図アプリがなかったら絶対に辿りつけなかった。

今日も雨が降ったりやんだりしているけれど、気温がそこそこ高いのでそんなに寒くない。

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だんだん大聖堂に近づく。このへん興奮していて全く寒いとか考えもしていない。

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着いた~!

工事中でシートかかってるけどそんなの関係ない。いや工事が終わってたら更に嬉しかったろうとは思うけど!

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記念撮影もしてもらう。それにしてもこの曇天で周りも落ちついた色合いの中でやたら目立つなピンク色……元々好きなのと、いざという時(遭難)目立つ色のがいいよなとか思って選んだが。

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パトカーらしい。地域毎にデザイン違うとかでかっこよかった。

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大聖堂の裏手にある巡礼事務所に到着。

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ここでクレデンシャルを見せて巡礼証明書をいただく。

アストルガ~サリアをバスでショートカットした事について訊かれるかなとかちょっと心配だったけど、特に何も言われず貰えました。

証明書は無料だったけど、入れる筒(卒業式みたいなやつ)は有料。濡れたり折れたりしたら嫌なんで買いました。あと貝の付いたブレスレットと、今更だけどリュックに下げるホタテ貝を。

ほんとに今更だなおい。ブルゴスでは買わず、まあどこでも買えるだろうと思ってたらそのまま売ってる場所をサリア以外殆ど見かけないまま最後まで来ちゃったんだよ。

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そしてパラドールの無料ランチ券をいただく。

事前に調べた話だとパラドールに並んで先着らしかったけど、その後変更があったのか巡礼自体が少ない時期だからか分からないけれど、要るかと聞かれてほしいと答えたらすぐ貰えました。

パラドールのご飯! 並ぶのは大変かなと思っていたので嬉しい!

 

巡礼事務所を出て、大聖堂には大きなリュックを背負っては入れないので荷物の預け先を探す。日本語でサンティアゴ・デ・コンポステーラの預かり所の記事を書いてくれてるページがあったからそこを参考に。

リュック1個を一日2.5ユーロで預かってくれた。杖どうだったかな……一緒に預けたような気がするけど記憶がはっきりしない。

預かり所に織機が置いてあった。学生の頃に染織やっていたので織機見ると楽しくなる。使い方が分かるタイプの織機だったから尚更。

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この預かり所に行く途中に日本人観光客の集団に遭遇。

年配の団体さんだった。わー日本語だ日本人いっぱいだあ……と思わず言う私と、私を見つけて歩いてきたのね凄い凄いと言うおばさま方。

本当に貝殻付けてるのねえ……とか言われて心の声(すみません歩いてきたのは事実ですが貝殻はさっき買いました)

こんなに凄い凄いと言われると本当に自分が凄い気がしてくる、というぐらいやたら構ってもらった。

 

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昼のミサまでにはまだ時間があるので、先に駅へ向かった。

途中に寄ったカフェでカフェコンレチェを頼んだらサンティアゴ風タルトというお菓子の試食をさせてもらえたんだけどこれが激ウマで、結局翌々日に自分用と家族用で3箱買いました。

ここからマドリッドに戻るにはバスと電車、飛行機がある。飛行機は最初から選択肢に入れてなくて、バスでも電車でも半日がかり

バスはサリアへの移動の時に酔いまくったのがトラウマなのと、せっかくだからスペインの電車にも乗っておきたいという事で電車にする。

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その場で撮れる証明写真とか日本と変わらないなあ。

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駅を遠目に見る。

街全体は古都の趣があるけれど、駅へ行く為に通った新市街はブランドショップが並んでいたりして普通の人口の多い都市という感じで大聖堂周りとは全然違う雰囲気。

レンフェの切符、38.6ユーロ。26日の飛行機で帰国なので25日の朝のにしました。

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大聖堂に戻ってミサに出る。途中、CちゃんEちゃんSちゃんに会い、泊まっているアルベルゲを教えてもらう。

最初ゴールインしたらホテルに泊まる予定だったんだけど、せっかくだから同じアルベルゲに泊まる事にした。

気になってたホテルには別のサリアから顔を見かけてた若い学生さんらしきグループが入っていくところを見かけたりした。

 

ボタフメイロのある大聖堂内部。

前の方には地元の常連らしい人達。私らは後ろにまとまって座ってた。

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ミサを出た後、パラドールのランチ券を持って歩いていたらLさん達に会う。サリアから何度も見た顔ぶれで揃ってランチ。美味しかった。

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ランチの後、アルベルゲに入って休憩。お腹いっぱいなので少しぼーっとしたい。

泊まったところ

www.booking.com

20ユーロぐらいで大聖堂まで数分の位置でベッドは仕切られてるしトイレシャワーは男女別だしシャワーに最初からシャンプー付いてるしでとてもよかった。

入口入ってすぐのソファスペース兼キッチンが広くてくつろげる。

明日フィステーラへ行くつもりなので、一休みした後にバスターミナルへ。電車の駅とはまた別方向かつ街の入口に近いので30分ぐらい歩く。

リュック背負って6時間よりずっと楽なはずなんだが……坂と階段の多い街だから遠い気がする。そして行ったはいいが「明日のバスチケットは明日買いに来て」と言われて買えず……。

ゆっくり戻る途中も背中が痛む。

リュックはなしで、ごく小さなエコバッグを肩に掛けていたんだけどそれでも痛かった。

まだ時間があったから大聖堂に戻ってたくさん写真を撮る。

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アルベルゲに戻ったらMちゃんがいた。

カルサディリャ・デ・ラ・クエサで別れたきりだから十日以上経ってるのに会えたのが嬉しい。

カミーノは会いたい人に会えるって言うけどねえなんて言いあったりしてる最中に爆弾発言される。

「ユキ、テレビに出てたよ」

確かに昨日、カメラを持ってる男性達に遭遇した。

私はなぜか「山の中だし野鳥の会的な集まりかなあ」と思いこんで軽い挨拶だけして通り過ぎたのだが、それがスペインの地方局で、巡礼者を撮影していたらしい。

「死んだような顔をしていたね」

とか言われたがええまあ背中が痛くて一人になると顔が死んでいた自覚はあります。Mちゃんは日本語できるので私の思いこみではなく。自然が綺麗とか旅が楽しいとかと疲労はまた別なので……。

シャワーを浴びて晩ご飯どうしようかなあ、と検索してみたけどすぐ近くに良い感じの店が開いてなくて(いや探せばあるんだろうけど今日は色々探した日だったからもう考えたくなくて)近くのスーパーでレンチンで済むパスタとデザートとバナナを買う。バナナは明日の朝ごはん。

アルベルゲの電子レンジは今日初対面の男性三人組が何か美味しそうな物を作っていた。時間がかかるみたいでレンジの順番を譲ってもらい、食べていたらワインも貰った。楽しそうな人達を見ながら食べ飲みするのは楽しいなあ……と思いながら夜が更けていった。

 

ペドロウソ~サンティアゴ・デ・コンポステーラ

1/21(日) ペドロウソ~サンティアゴ・デ・コンポステーラ

 

タイトルを見て、あれっと思った方もいると思います。

お前昨日、皆と一緒に明日到着は無理だからって言ったやろ。言ったよな。

今日はとてもグダグダな日です。

 

早朝、皆の出発する気配で目が覚める。

八時前起床。シリアル入りのヨーグルトとプリングルスを食べて出発。

今日はきっとたくさん歩く最後の日になるだろう、と思っていたが歩みが遅いのはそんな感傷があったからではなく背中が痛いからだった。

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サンティアゴ、と書いてあるとテンションが上がる。もう少しだという気持ちになる。

大きな道に出ると標識や広告や道幅なんかの具合で都市が近いなと感じられる。

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お昼は途中の町のレストランに入ったけど早めの時間だったのでまだ料理はやってないけどボカディージョならあると言われる。がっつりパンとカフェコンレチェで温まれてむしろありがたい。

猫も、意味なくテンションを上げてくれる

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が、この坂はテンションが下がる。奮いたたせる為にその場でTwitterに今から坂だって投稿したのを覚えている。

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看板を目印にしながら歩くのももうすぐなんだなあという気持ち。

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サンティアゴ・デ・コンポステーラに午前中に着くのが望ましいと言う事で、すぐ5キロ前のモンテ・デ・ゴゾには五百人泊まれるアルベルゲがあるとか。

アプリでは開いてるみたいだしそこに泊まって明日の午前中にゴールインしたい。

モンテ・デ・ゴゾのすぐ手前でカフェ発見。まだ15時前だしさっさと宿に着いたほうがいいんじゃないの、と思いつつカフェで温かい物を飲みたくなって休憩。地元の人が多くいて、小さい子がおじさん達に交じって遊んでたのを覚えている。

ここで休みたかった時点で私はこの後に起こる事をなんとなく予感していたのかもしれない。

 

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Close………はいアウト。開いてない。

公営なのに! と一瞬信じられなくて事務所の建物の前まで行ったけど、やっぱり開いてなかった。

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まじかーここまできて……。

きっと夏には大勢がここに泊まって賑やかなんだろうなあと思える建物達も、今は枯れ葉が積もるばかり。長居する場所でもないなあという雰囲気にさくっと諦めて歩きだす。

残りは5キロ。少し歩けばすぐに街らしい景色に変わりだす。

 

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サンティアゴ・デ・コンポステーラに入ってしまう。せめて街の入口あたりで泊まりたいなあと思うが、アルベルゲは殆ど閉まっている。そりゃそうだ。私だって普段ならわざわざ街の中心部から離れた場所に泊まりたくはない。というかゴールしたら一度ホテルに泊まろうと思っていた。

大聖堂まであと1キロ、みたいな場所で公営のアルベルゲを見つけて宿確保。私の他には遅い時間に一人だけ来た。

 

 

ゴールの大聖堂付近には行かないようにしながら散策。先にバス停を見に行ったけど日曜の夕方は窓口は閉まっている。

自販機が並んだスペース。紙パックのジュースはいろんな街で何度も飲んだ。好き。

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ここにもプルポの店があるらしいけど日曜だからか閉まっていた。

タパス屋さんでプレートを食べる。チキンとオムレツとサラダとパンにオレンジジュースで8.5ユーロぐらい

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宿のシャワーで一息ついた時、シャワールームの棚に誰かが残していったコンタクトレンズの洗浄液の箱を見つけた。私は使い捨てコンタクトを持ってきていたので使わないけど、なんとなく親しみを感じた。

旅の間、眼鏡の人は何人か見たけど、自分以外で朝洗面所でコンタクトを装着してる人には出会わなかったんだよな。

明日で終わり。それから、フィニステラに行って一泊しようかなと思った。

アルスーア~ペドロウソ

朝、アルベルゲでは食事を摂らず、りんごを食べながら歩く。

今日は20キロ強の予定。相変わらず背中は痛むけど、風景は変わるしちょっと休憩に座ったりカフェに入ったり出来る街も定期的にあるしで飽きない。

 

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高低差はこのへんも結構あって眺めはいいけどここを行くのね……みたいな気持ちにはよくなった。

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湿った道を歩いて行く。

サリアからの100キロはちょっとした小旅行、気分の人も多いみたいで、音楽をかけながら半分踊りながら歩いてる三人組とか、リュックは大きいのに羽織ってるのはスポーツ用ですらなさそうなダウンコートな女性とか(雨が降ったらどうするんだろう?)いろんな人を見た。巡礼の形も様々なんだなあ。

序盤の人のいない感じと比較すると皆楽しげでわいわいしててなんていうかお祭り感がある。

ガリシア地方に入ってからは野犬が怖い、みたいなのも事前情報で見ていたけど、私が見た野良は痩せて可哀相な感じの一匹だけだった。柵の向こうから吠え立ててくる飼い犬はたくさんいたけど。

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ブランコみたいな枝の樹。通りすがりのカップルに撮ってもらったんだけど、やけに何度も見返してるなあと思ったらついでにインカメ撮影でしっかり目線決めた二人の写真が私のスマホに残っていましたよっと。誰ですか。

 

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私はゆっくりゆっくり歩いているので、10時とかに出発したような人にもどんどん抜かされていく。でもまあ気にしない。気にして無理してもしょうがない。

休憩でスープとトルティージャ。中にジャガイモの入ったこのオムレツが大好きでよく食べていた。丼一杯のスープも好き。

しかしこの日はちょうど私が入ったタイミングでパエリア売り切れだそうで……しかもそろそろ出ようかって帰り際のタイミングで新しく炊き上がるとか本当に運が悪かったみたいだった。まだスペインに来てパエリア食べてないんだよね。だからか日記にも売り切れ悲しいって書いてあった。

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番犬、みたいのが鶏と一緒にいる。

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そうこうしているうちに雨が降ってきて、足元もぐちゃぐちゃで常に水が出てる感じになってきた。

途中休憩に寄ったバルでペドロウソは公営のアルベルゲしか開いてないよ、と言われる。それは別にいいんだけど雨がやまない……のでカッパを着てまた歩きだす。

カッパを着る時はスマホはカッパのポケットじゃなくてその下のズボンのポケットに入れる。よっぽどの事がなければそのまま出さない……のが徒になった。

ペドロウソは道路沿いの細長い街。この近辺のみ巡礼路と国道が離れているので、街に入るなら一度巡礼路を逸れないといけないんだけど……目印をスルーしてちょうど街を通り越したあたりで気がつく。スマホがポケットに入れっぱとか関係ない。標識はあったんだから気づかない時点であんまりだよ……。

 

戻って歩いてアルベルゲ着。D君や顔見知りになった皆に会う。

まだ18時ぐらい(だいたい19時過ぎないとディナーメニューにならない)だったけどすぐに夕食に誘われる。

皆、明日の朝は早いみたい。午前中にサンティアゴ・デ・コンポステーラに着く為に3時起きで歩きだすんだって。

夕食の席で一緒に行く? と訊かれたり誘ってもらったりしたけどそれは断った。まず私の速度では暗いうちから歩いても10時までに到着するのは微妙。あと、せっかく歩くのなら最後まで景色を出来るだけ見ておきたい。出発直後ほどではないけれど朝の遅い時期で、9時頃までは周りが真っ暗だったりするから景色とか以前に私じゃ危なそうだ。

 

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夕方18時頃に開いている店を探した結果、肉、野菜、ポテト、卵、という満足感溢れるメニューに。ワンプレート+缶コーラで9.70ユーロ
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アルベルゲに帰る途中にスーパーに寄ったけど結局何も買わなかった。

Cちゃんという女の子に、カリオス・ロス・デ・コンデスで私を見た、と言われる。歩きだしてまだ数日の頃から……と懐かしいような気が遠くなるような変な気持ちになったのもつかの間。

「全身オレンジで謎のダンスみたいな動きをしていた」

いやだからオレンジはレインコートだから! あと踊ってるんじゃなくて寒いのと筋肉痛で動きがおかしかったはずだから!

他の人にも「オレンジの人」って言われたりしたんだけど確かにレインウェア上下揃ってオレンジって人は他に見なかった。単に準備中に買いに行った先にサイズが合うのがオレンジと紺しかなくて、どっちかって言うなら雨降って暗くても視認しやすいオレンジのが安全かな、ぐらいの気持ちで決めたんだが。

あと上下セットの雨具使ってる人はあんまり多くなかった印象。上だけのリュックごと覆えるポンチョ型が一番よく見かけた。

特に序盤の寒波のきてた頃は中の服が濡れると命の危険を感じるレベルだったので上下セットにしたのは間違ってない選択だったと思うんだけど、でも身動きとか蒸れなさとか考えると下はズボン、上はポンチョ型がよかったかなとも思った。

 

食事を終えてアルベルゲに戻ると、

「シャワーが水しか出ない!」

と教えてくれた人がいてどれどれと見てみたら本当に水……ぬるいとかそんな甘いもんじゃない。あと微妙に臭う感じのシャワー室だったので今日はシャワーを諦める事にする。

ついでにキッチンを覗くと音楽かけながら料理を作ってる人達がいて楽しそうだった。早朝出発組はさっさと寝てるけど食堂のあたりは日付が変わっても騒がしい。

周りがうるさくても知らない人ばかりでも平気で寝られるようになったけど、相変わらず3~4時間で一度目が覚める癖は直らないまま。

  

 

パラス・デ・レイ~アルスーア

1/19(金)

八時にアルベルゲを出る。朝ご飯を食べていられなかったので、りんごを食べながら歩く。

果物は歩いている間中ずっと日保ちするのを何かしら買ってリュックに入れていた。りんごとかみかんとか刃物がなくてもすぐ食べられるやつを。おやつにも非常食にもなるし水分も取れる。

今日は20キロ予定で肩と背中をいたわりつつゆっくりだらだら歩くつもりだった。

雨じゃないんだけど、殆ど霧で湿った朝の風景。湿気とぬかるむ道にも慣れてきた。というか山の雰囲気が今までで一番日本の田舎に近いので落ちつく。湿気と水と緑の匂い。

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牛さんのいる風景。

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Melide

背中を痛めて以来すっかりペースが落ちているので、8時に出ても、昼前にはゆっくり出てきた人達に抜かれる。キムさんアンナちゃんといった女性陣を見送ってまた歩き、13時頃にメリデの街に着く。だいたい13キロ強かな。

メリデではプルポを食べるのが楽しみだった。タコ好きだし巡礼の前半にもスペインのタコはアジアのタコとは全然違うからぜひ食べるべきだ、とMちゃんに言われていた。

名物だけあって幾つも店があるみたい。とはいえ今日はまだ歩くのであまり巡礼路を外れないで決めたい。ひとまず巡礼路沿いの店をGoogleマップでチェックして、評価が悪くないお店がすぐ近くにあったのでそこに入る。

店頭がガラス張りで料理をしているところが見える店。閑散期だからか巡礼は少なくて待たずに入れたけれど、お客さん自体は結構いて賑わっていた。

プルポと水とデザートにアイスクリームで13.4ユーロ。ワインでもよかったかなあでも歩くしなあ、と迷って結局水。

ここのプルポはサイズが色々あって私のは一番小さい一人前サイズ。でもこれだけで充分お腹いっぱいになるボリューム。グループで来てる人はもっと大きな皿のを注文してシェアしたりしてたみたい。

上のタコが乗ってる部分の皿が一人前のお好み焼きよりちょっと大きいぐらいのサイズ、と言えばこのタコの足の太さ、むっちり感が伝わるだろうか。

昨日のプルポの店も美味しかったし雰囲気よかった。けどここのは更に美味い。さすがプルポの街! と感動に震えつつタコにむしゃぶりつく。

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 食べる前にね、スマホで上の写真を撮ってたら店員さんが寄ってきてスマホを貸せというジェスチャーされて。ああもしかして店内撮影禁止だった???と一瞬ビビったのですけど。でもそんな事はなくてなんか普通に記念写真を撮ってくれました。こうして見ると大きいよねプルポの皿。

隣に置いてあるカゴの中身はパン。食事の時によく出てくるフランスパン的な固いパンなんだけど、このプルポにかかってるオリーブオイルを塗りたくって食べると本当に美味しい。あと他のところでも、スープに浸したり肉にかかってるソースを付けてみたりと、何と合わせても結構いけた。パン好き。

お水はペットボトルで供される。食事後に余った分はそのまま持って帰っていいのでこういう時の水は旅の飲料水として持ち帰るべし、と以前会った女の子に教わっていた。

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最高の昼食を終えて店を出て、また黄色い矢印に沿って歩く。

なんてことない景色にいちいち見とれ、これまでの街との違いなんかに気を留める。たとえば私に建築の知識や宗教の知識があればこの違いはもっと興味深く楽しめるのだろう。知識は、勉強は学んだ分だけ人生を豊かにするのだなあと改めて思う。

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メリデはアルベルゲも多い大きい街だけど、ここに泊まると翌日の距離がきつそうだから次の街へ行こう、と歩きだした。アプリには当時は少し先の町に泊まれるところがあるとあったので……。

巡礼路に沿って街を歩き、街を出て少しするとまた牛さんがいる。

乳牛ではなさそうだし食肉用なのかな? などと想像しつつ通り過ぎる。生き物の生きてる匂いもメセタの台地では殆ど感じられなかったものだ。

 

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川ってわけじゃないんだけど水が出てる、流れてる、みたいな場所がそこかしこにある。

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こういうところを渡るのはわくわくする。一人しかいなくても余裕ではしゃいでいる。

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ところがはしゃいでいたのもつかの間、泊まるつもりだったアルベルゲに行ってみたら玄関に張り紙「バカンス行ってきます」みたいな事が書いてある……おとなしくメリデに泊まっておくべきだったかなあ。でもまさか歩いて戻るのは嫌だしなあ……とまた歩きだす。D君達が今日向かっているアルスーア、その一つ手前の街には公営の年中無休のアルベルゲがある。

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18時過ぎ、暗くなりかけた中をやっとアルベルゲに着く。人気の無い、泊まっている人も少なそうな場所。周りに住居も少なく商店もない。

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このアルベルゲは何十人も泊まれる大きなものらしいけど閑散としていた。幾許かの不安を覚えながらホスピタレイロを捜す。

ペンションみたいな建物が何棟か組み合わさっている場所。トイレ棟は別にある感じだった。

受付に座っていたお姉さんは、私が泊まりたいと言うと少し困った様子で、ベッドはあるから構わないけど、ここには食事が出来る場所がないの、マジでここに泊まっちゃう? みたいな事を言った。

「レストランもないの?」

「ええそうよ」

「買物もできない?」

「一キロ先にスーパーが、三キロ先には次の街があるわ」

 食材を持ち歩くタイプにはそれでもいいのだろう。ここキャンプ場的な雰囲気あるし初夏に来たら楽しそうだ。でも私はお菓子と果物しか持ち歩いていないしスーパーへ行ってまた歩いて帰って来るのはさすがに……。アルベルゲは広いけれどあまりに閑散としていて、熱いシャワーを浴びてまったりできる雰囲気でもない。お姉さんも私が一人で快適に過ごせない事を心配してくれているようだった。

「三キロ先の街に行きます。ありがとう」

お姉さんは私を気遣い、ほっとした様子で送りだしてくれた。

公営のアルベルゲはこんな感じで、開いていると見せかけて閉める事ができないからとりあえず開けているだけ、みたいなところが冬はあるみたいだった。

この時点で18時半ぐらい。

外はどんどん暗くなっていくが、私はそんなに不安を感じてはいなかった。アルスーアまではこの背中が痛い状況でも一時間程で着くだろう。サリア以降の街は観光地的な雰囲気が強く、道も暗くはあるが広くて車道に面したところが結構多くて歩くのに怖いとまではいかない。アルスーアは大きいのでアルベルゲが万一駄目でもホテルなど必ずある。

少し歩いてから男性に追い抜かされた。昨日までに見た顔だったから、私を追い抜かすぐらい後ろにいた事に驚いた。彼は振り向き、水を切らしてしまったとジェスチャーで示してきた。私は最初判らなくてとんちんかんな答えを返したが、最終的に理解して彼にお水を少しあげた。

更に暗くなってきてからは、しばらく出していなかったライトをポケットから出して歩きだした。

先程の彼は私の前を歩いていたがその距離が一定より開く事はなく、時々私を振り返って立ち止まっていた。一人で遅くにトロトロ歩く私は心配されているのだと気づいて申し訳なくなる。この道はほぼ一本道で迷う可能性はまずないのに。優しい人だなと思うと同時に、迷惑かけちゃいかんと思うと足が進むし背中が痛くても後少しはリュックを下ろさず頑張ろう、と思える。予想より早くアルスーアに着けたのはもう間違いなく彼のおかげである。

 

急ぎ足になっていても、美しい夕暮れは撮らずにいられなかった。

朝から晩まで旅をする醍醐味は朝焼けも夕陽も眺められる事だ。

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アルスーアの街の入口に到達した辺りから彼はよく立ち止まるようになり、私は殆ど追いついた。彼は何度も街の人に道を訊いたり話しかけたりしているようだったが、その全てが女性だった。あと多分道とか関係ない話もしている。なんか色々大丈夫なのか……?いや、気遣ってもらったのは嬉しいがこの人に私はどこまで着いていってもいいのだろうか……そんなふうに思い、ひとまず人に頼らず自分でもアルベルゲを探すか。出来れば巡礼路を外れない近くがいいな、と思って検索してひとまず近い所に行ってみようかとした時だ。

「何してるの、こっちだよ」

「いや、私は近いアルベルゲに泊まろうかと……」

「Dのいる所に行くんだけど、君は来ないの?」

 えっ、D君いるん?

「行く!」

 というわけで結局彼のいるアルベルゲを目指した。街の入口からは少し離れていたけれど、ドアを開けた途端に暖かい空気が流れこんできて、ああ良さそうな宿だと思った。

 

Albergue Vía Láctea

www.booking.com

いい宿だった。ストーブがガンガンに焚かれてて暖かくて、広い宿で客が多い時期じゃないから全てが開放されてるわけじゃないけど充分。ベッドとベッドの感覚も広いしぎゅうぎゅうには詰めこまれなかったから遅い時間に行っても下のベッドが取れた。

D君に、宿閉まってて結局追いついたぜ、と言う。そうしたらもう少ししたら皆で食事を作るからどうぞって、誘っていただいた。

ありがたくご相伴に与る事にする。

部屋はD君達とは別になり、途中で見かけてた白人男女の三人組と一緒だった。まだ若い、多分大学生ぐらいの子達。私が部屋で足がむくまないようゴキブリ体操をしていて、「これ日本ではゴキブリ体操って言うんだよ」と教えたら女の子のほうがツボにハマったのか爆笑していた。

着いたらまず荷物を整理してシャワー。途中で道中にも会ったD君の友達の女の子達と話したりする。明日の目的地も一緒だと解って、一緒の宿に泊まろうねとか道中話そうねとか頑張ろうねとか言いあう。なんだか嬉しい。

別のお姉様(ご夫婦でカミーノを歩いているらしい)がドライヤーを貸してくれた。ブルゴスで泊まった部屋にも確かドライヤーはなかったから、久しぶりの文明の利器で髪を乾かす瞬間だった。それだけでかなり気持ちがほんわかする。凄い、ドライヤー凄い。髪がすぐ乾くよ! っていうかお姉様はドライヤーを持ち歩いているのだろうか。

食事もそのお姉様方が中心になって作っていたので、私は皿を運ぶぐらいだった。ニンニクを効かせた目玉焼きの美味しさに、これは日本へ帰ったら作らねばと決意する。サラダはドレッシングが足りなくてマスタードぶっかけたりもしてたけどこれも美味しかった。

 

さて、殆ど何もせずに食べさせてもらったので洗い物をします。これは私とD君が一通り洗い物をした後(写真左は私ではない)。ご飯を炊いた鍋だけはすぐにはお焦げが落とせそうにないから、一晩水につけておこうという事で意見がまとまった(そして翌朝洗ったよ)

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私をアルベルゲまで案内してくれた男性は、D君曰く凄くいいやつで女性に優しいんだけど、寝起きが本当に悪いのが玉に瑕で、この日もアルベルゲの退出時間をとっくに過ぎた昼頃にやっと起きて発ったのだとか(人が少ない時期だからか、宿によってはわりとゆるく許してくれる事もあったみたい)だからあんな時間に私に追いついたのだねえ。

女性にもひたすら声かけまくってたけどそれだけでないいい人で、別の場所でレストランで巡礼同士の喧嘩が起こりそうになった時に仲裁に入ったのを私も見ていたりした。うん、いい人だった。

あと三日でこの巡礼もゴールイン、かと思うと嬉しいような終わってほしくないような。



ポルトマリン~パラス・デ・レイ

 

朝、七時台にはまだ寝てる人も多い。

起きてる人達が準備する中をごそごそ着替えて荷物を纏める。ここのアルベルゲは寝室2階キッチンその他は1階なうえに結構広いので何度も行き来するのはめんどいし朝食は出る直前にする。

さて、キッチンではお湯は出なかったね。コンロはあるけどケトルが無いね。けど電子レンジがあったので水投入→5分ぐらいチンしてひとまず食べられる味のカップ焼きそばが出来たよ!

8:15頃出発。

サリアを過ぎてからは(冬なのもあるだろうけど)早起きする人は少なくて、それなりに明るくなる九時十時ぐらいに出発する人も多い。とはいえ歩くの遅い私がそんな事をしたら次の街に辿りつけないのでちょっと早めに出る。

朝はまだ靄のかかった道。天気が悪いというわけではない。

長閑だけれど坂が結構多かった。まずポルトマリンを出てから巡礼路へ戻るまでに坂だらけだしな。

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途中、昼前には遅く出てきたD君に追いつかれてみかん貰った。

D君と一緒に歩いてるグループの人達は今日はパラス・デ・レイまで行くみたい。私は昨日から背中の痛いのもあってゆっくり17キロ地点のところで泊まろうかなと。そうしたらちょうど翌日にプルポの名所メリデに泊まれそうだし。だからもう会えないかもねと話しながら見送る。

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背中のせいで体調は結構ギリギリだけど、ガリシア州に入ってからは山歩きが本当に楽しい。天気がよくて寒波も通り過ぎたのであまり寒さも気にならない。

あと自然の匂いがする。メセタの大地は乾燥してて植物もあまり見なかったし雨が降っても草の匂いとか感じなかったけど、こっちは土も草もしっかり匂うし、水が出てるようなところも頻繁にあって、せせらぎの音を聞きながら歩いたり落ち葉を踏んだり、足元は汚れるけど楽しい。

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踏むとダッシュ出来るやつだーっ!!! と喜び勇んで踏みに行ったマリカースーファミ世代です。標識なのか何なのか判らないけどこれだけでテンションだだ上がりになれる日本人というかマリカー育ちは多いのではないだろうか。

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歩いて歩いて17キロ地点の宿は閉まってたので、バルででかい餃子みたいなピザ包みみたいな謎な食べ物(エンパナーダっていうらしいのは帰国してから知った。美味しかった)を食べてからまた歩く。

クリスマス頃~1月にかけてはアプリや本で「All year round」と書いてあっても冬休み的な休みのところがある。電話で会話出来る英語力とスマホがあれば前日や当日に問い合わせるとか出来るけどまあ私が持ってたのはデータ専用SIMだよねっていう。

パラス・デ・レイまでならそんなに遠くもないし頑張るか~って歩く。

サリア~サンティアゴ・デ・コンポステーラは4,5日で歩けてしまう事もあって、ここだけ歩く人もとても多いそうだ。私も当初の計画ではサリアからなら飛行機含めて十日でこなせるかなとか、アストルガあたりから始めて半月のコースはどうかなとか考えていた。結局少しでも長く歩きたくて制限日数ギリギリのブルゴススタートにしたんだけどね

サリア以降は街の雰囲気も観光地的なところが増えてくるから、観光地じゃない旅をしたい、という気持ちがあるならもう少し前から歩いたほうがいいかもしれない。

日本からだとどっちにしろ遠いけど、EU圏内の近場からだと飛行機往復も含めて一週間~十日ならハイキング程度の気持ちで楽しめるのかもしれない。荷物少なめどころかアウトドア用でもなさそうな普通のロングダウンコートで歩いてる女性や(雨降ったらどうするんだろう。でももこもこして暖かそうだった)、音楽流して時々踊りながら歩いてるグループとかも見かけた。

逆に遠くからずっと歩いてる人達はこの辺りまで来るともうペースが同じ人同士で固まっていて、ゴールまで一緒に行こうと意気投合してる感じの人達も見かけた。私はバスでショートカットしたんで昨日今日会った人の他に知りあいはいない。……と言いつつこの直後に巡礼最初に会った人を見かけたりゴール後に会えた人もいたんだけど。

 

Palas de Rei

着いた着いた、と辺りを見回す。まだ暗くはないけど急いだほうがいい時間ではあった。ベッドは早い者勝ちだけど二段ベッドは出来れば下がいい。

宿はたくさんあるけどやっぱり閉まっているところも多い。よく解らなかったらとりあえず公営に行くって手もあるな、と考えてたところで、巡礼初日に会った犬連れの男性を見つけた。

少し挨拶して別れる。彼は犬OKで空いてる宿を探すから、と言っていた。

私はもう結構疲れていたので手近なところへ飛びこむ。あんまりどんな宿だったか覚えていないんだけどこんな写真は撮っていた。 

二段ベッドの下の段から見上げた所。皆落書きし過ぎや。

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自分が歩いた証とか、どっかに何か残したくなるものなのかもしれない。落書きはあかんけどな。

あんまり覚えてないけど部屋ごとにシャワートイレがある方式だから女性しかいないタイミングで明るいうちにとっととシャワーを済ませたらしい(と日記に書いてある)。これもアルベルゲあるあるだけど。

地図で夕食をどこにしようか調べる。アルベルゲのすぐ近くにプルポを出してくれる店があるようなのでそこに決めた。

初プルポの店は店員のお子さんみたいな子がタブレットで遊びつつ、時々お母さんが様子見に来て何か食べさせたりしていて微笑ましくも可愛かった。夫婦でやってるのかな?

でかいサラダ好き。シーチキン盛り盛りだし普段ならこれだけで食事が済みそうなものだけど、たくさん歩いた後なのでこの後にメインも入る。

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プルポ美味い……タコが大ぶりで味付けはシンプルでオリーブオイル……語彙が少ないがとにかく美味い。

プルポとミックスサラダとグラスワインで17ユーロ。アルベルゲが6ユーロ。

 

 

 

サリア~ポルトマリン

 朝起きて身支度をし、朝食会場の地下の食堂へ。

 ドミトリーには私一人だったけど、同じ建物の多分ダブルルームに泊まっていたカップルらしき男女と三人で食事。

 ホスピタレイロのお姉さんが持ってきてくれる朝食がとても豪華で朝から食べる食べる。焼きたての小さめトースト三枚をジャムとかハムとかチーズで平らげ、更に温かいホットケーキもいただきバナナも食べる。飲み物もお代わりして幸せ……これ5ユーロなら全然ありだわ、と後で玄関に置いてあった宿泊者のコメントノートにここに泊まるなら朝食はぜひ食べてゆけ、と日本語で書いておいた。

昨日もいた宿の犬は今日も食堂にいた。巡礼者を見かけても気にも留めずに遊ぶか寝ているが、朝食の分け前を貰えるかもという気配を感じると一直線に走ってきてちょうだいちょうだいのポーズ。

とはいえテーブルの上は加工食品だらけだし人様のお宅の犬に塩分あるハムとかチーズはいいのか分からんからやめておこう、と傍観する私を完全に無視してカップルのお姉さんのほうに懐きまくってチーズをもらうわんこ。

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この視線の先にチーズをくれるお姉さんがいる。

決して自ら椅子やテーブルに乗ろうとしないあたりはきっちり躾けられている様子。食い物をくれる人のところに一直線で私には目もくれない。

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お腹いっぱいになって、だいたい九時頃に歩きだす。

サリアを出て少し歩くともう山道。でも、水の匂いや周囲の湿気が一昨日のアストルガまでとは全然違う。寒波が去ってかなり暖かくなっただけじゃない、植生の違いみたいなものがある

サリアから先の山は日本の田舎の山に少し似ている。踏みしめると柔らかい腐葉土。苔むした岩や冬でも地面には緑が見えるあたり、小さい頃に遠足や家族と行った山や近所の謎の林を思いだす。

湿気もかなりあってアストルガまでの雨雪さえ降らなければ乾燥している空気や地面とは全然違う。小川もあれば、川でないのに水が出ているようなところもある。

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少し歩いた先でこんなのを見つけた。

後113キロ、とはっきり書いてある。巡礼の標識は地域によってデザインが違うけど、ガリシア州はこれ。ここからラストまではこの青と黄色の石碑みたいなやつを目印に歩いていくようだ。もう今日中にはラスト100キロに到達するのだなあと思うと感慨深い。

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それからまた暫く歩いていき、若いアジア人の男の子に抜かされた、と思いきやハロー、の後に何となくお互いこんにちは、と言っておお日本人だー、と自己紹介したり話をしたりした。彼も私のリュックに付いてるカービィちゃんのでかいキーホルダー(というかボールチェーン付きの大きいコースターをずっと吊していた)と横のポケットに突っこんである龍角散のど飴を見て多分日本人、と思ったらしい。

カミーノで会う二人目の日本人のD君は、大学休学して一年間の世界一周旅行の途中にカミーノを知ったからローマから歩いてきたよ、というとんでもない青年だった。

ローマでこれからどの国行くかー、ってタイミングでカミーノの存在を知って、周辺の教会で詳細聞いてたら周りの人が(この子全然知らないのにいきなりスペイン行くとか言いだして大丈夫か……?)なんて心配して色々教えてくれたり経験者の人がガイドブックを譲ってくれたりしてイタリア→フランス→スペインと歩いてきたとか。彼自身とても好奇心旺盛で人と交流するのが上手な子だったけど、そこを抜きにしても巡礼の道を歩くと必要な人に会えて必要な物に巡りあえる、というのを改めて実感する話だった。

彼は大学生なので、日本帰ったら就活だとか、それなら無職になったばかりの私も同じだとかそんな話をしつつ、途中の宿がどうだったとかの話などもしつつ一緒に歩く。

「実は昨日の夜レストランでユキさんを見たんだよね。一緒にいた韓国人の女の子と、ユキさんが日本人か韓国人か当てようとかやってた」

そうなのか。私のほうは同じ店にいた子だなんて全然気がつかなかったよ。

その韓国人の女の子とも途中の道で会いました。やっぱり親しみやすい子で、彼女はどこでもいつもカフェコンレチェを飲んでるのでカフェコンレチェといえば彼女の事みたいになったんだってD君が言っていたが、私も(炭酸とかがあまり得意でないのもあって)同じようなものなので笑えなかった……。

転職や就職したらなかなか来られないねえ足腰が元気なうちに来たいけど、と言ったらけど僕は70代で一日30キロとかもすいすい歩いていくお爺ちゃんに会ったよ、と言われる。凄い人もいたもんだなあと思ったが、私も後日そのナイスなお爺ちゃんに遭遇する事になる。

 

喋りながら歩いていても青地に黄色いホタテ貝の石碑は数百メートルおきにあるので全然迷わないし次の石まで行ったら休憩、みたいのもやりやすい。

100キロ地点そろそろでない? と言いながらふと見たら100キロ過ぎちゃってる!!!

99.930キロの石碑。矢印とか落書きしてあるのは近くに順路を無視しても行くべき名所があったりこっちの道がちょっと良い感じよ、みたいなのだったりらしい。あと巡礼路を直行せずに泊まるならこちら、みたいな時もある。

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なんで? なんで100キロ見過ごした? と、100メートルもないからD君と一緒に戻った先で見た物は…………汚い。汚すぎる状態な100キロ碑。

こんだけ落書きされてたら印象変わりすぎで逆に見落とすわな……と呆れながらそれでも記念写真を撮る。

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記念写真。ちゃんとここまで来たんだぞというやつ。

外でノーメイクを全く気にせず笑って写真を撮るなんて下手したら学生の頃以来なんじゃなかろうか。歩き始めてからどうせ崩れるしゆっくりメイク落としも出来ないしで日焼け止めと乾燥防止リップしか塗ってないがその状態で初対面の人と話すのももう全く気にならない。

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落書きは確かに良くない事だけど、と思いながら考える。ここに来るまでの他のカミーノの目印にも名前や小ネタっぽい落書きをたくさん見た。一応皆気をつけてはいるようで、落書きの大半はカミーノ絡みの標識や看板のみでそのへんの街の壁やらに犯人が巡礼とわかる落書きしてるのは殆ど見かけない。

この中の何人がもう一度自分の名前を書いた場所を訪れるのだろうとか、旅も終盤になって私はいつかもう一度この道を歩くのだろうかとか。

落書きの他に、後半になってくると標識や景色の綺麗な場所に人物写真が一緒に置いてある光景を何度も見て。もしかしたらこれはこれを置いた人の、一緒にここに来たかった誰か、だったりするのだろうかとか考えながら歩いていた(何か別の意味があるのに私が知らないだけかもしれないけど)

自分の名前、誰かの写真を異国に残していく意味を考えても答えはそう簡単には出ない。

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歩くのが速い人達を見送る坂道。

景色は綺麗で、天気はよく指先が凍えたりしない気温が戻ってきて。

とても好条件なのに、このあたりで体調に異変が起きる。

何だかんだで慣れないというか初めての長旅で、普段運動不足の身体に負担がかかり過ぎたんだろうなあ……背中、痛くなってきました。

リュックを背負って引っぱられる感じが駄目なのか、十五分も歩くと背中が酷く痛む。立ち止まりリュックを下ろすとすぐに痛みは引いていくし背中を曲げたりするのも平気だが、背負うとまた復活する。

足は快調なだけにもどかしいけれど、何年も前とはいえ一度腰を痛めた経験があるので、無理してグキっといって全く歩けなくなるのが一番怖い。

D君にも先に行ってもらって(というか私のペースが落ちすぎてもうどうしようもない)一人でのんびり歩く。少々の痛みとかどうでもよくなるくらい景色は明るくて、水と緑の匂いのする土地を歩くのは楽しい。まあ、結局この背中の痛みは帰国後二か月ぐらいじわじわ続いたんだけど。

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こ、この橋を渡った先に見えるのが今日の目的地ポルトマリンだ……。

腰より高い柵がある。車道と歩道も別れている。けれど、リュック背負ったままふらっとぶっ倒れたら沈むな、とかどうしても考えてしまってお腹がきゅーっとなる高さの橋。しかも長い。風も結構強い。あんまり高所恐怖症ではないはずなんだけどおっかなびっくり歩く。

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ポルトマリンは斜面に作られた坂の多い町で、橋を越えてもその後に続いている長い階段で心が折れそうになる……階段を抜けたら続く坂道を上ってアルベルゲのある方向へ向かう。

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Portmarin Pilgrims Hontel de

5ユーロ。アルベルゲもいっぱいあるけどまあ大半閉まってるんで公営に。広いし、こんなに人がたくさん泊まってるのを見るのは初めてでああ最後の100キロなんだなあという感じ。

D君達は背中痛いで休んでいた私より一時間以上早くに到着していたんではなかろうか。とはいえ16時頃には町に入り、同じ宿で再会して後で一緒にご飯食べようなどと言いあう。というか私が彼らのグループに入れてもらった感じだな。

買物に行って、そこで味の素のカップ焼きそばを買う。海外仕様にアレンジされてるのかなとか気になったのとジャンクな味が恋しかったのと。ここのキッチンで熱湯が使えるのかどうか解らないけど(電気ポットの使えるところは少なくて、お湯が欲しかったら鍋かやかんで沸かすアルベルゲが多い)まあ電子レンジあったから明日の朝ご飯これでも最悪何とかなるだろう。後ポッキーも買った。MIKADOって名前になってるやつ。

夕方に一緒に食事に行く。D君が「この時間が一番頭を使う」と言っていたのが印象に残っている。

D君は僕も日本を出た直後はユキさんぐらいしか話せなかったですよ、とか言いつつかなり話すし積極的にどんどん交流していく。多分私が同じ時間だけ海外を歩いても同じようにはならないんだと思う。それはもう彼が若くて吸収力があるとかそういう話ではなくて、他人への興味の強さの違いなんだろうな、などと後から考えた。私はある意味一人で色々と考えたくて遠くまで来て一人で歩いてる部分があるけど、彼はどこまでも他者と他者の住まう土地への興味が強いのだろう。しかもちゃんと礼儀を弁えて好奇心を発揮するのでとても好かれていて、別の場所で日本人ならD君知ってるか? 彼はいい青年だ、みたいな事を言われたりもした。

食事は巡礼用のメニューで9ユーロ。あんまり記憶がないから可もなく不可もなくな感じだったと思われる。

一緒に食事したグループの方とはこの後もサンティアゴデコンポステーラに着くまで何度か食事をご一緒したりアルベルゲで一緒になったりした。

ご夫婦で来てる方もいて、年上の女性に声をかけてもらうとやっぱりほっとする。静かな道を一人で歩く日々は好きだったけど、最後の数日も賑やかで楽しかったのは確かだ。

もうすぐ旅も終わるというのに、結局夜中に4,5時間で一度目が覚める癖は治らないままだ。