真冬のスペイン巡礼記

2018年1月、ブルゴスからサンティアゴ・デ・コンポステーラを巡礼してきました。

1/8(月)カリオン・デ・ロス・コンデス~カルサディージャ・デラ・クエサ

朝起きて準備。

カフェが開くのは九時ぐらいなのかな? とりあえず顔洗ってこのアルベルゲは朝は何時までいられるのかな……とか色々と考える。

お湯はあるからお茶か味噌汁(インスタント持ってきてた)飲もうかな、とキッチンの前に出たところで何度か宿とか一緒になってるJさんが朝食を広げていた。

食べる? と聞かれて少しだけ貰うつもりが、Jさんは超自炊派でパンはバゲット一本持ってたしジャムは瓶、チーズとかハムも大袋で買ってて紅茶もリットルあるのでむしろどんどん食べなさい、という状態で甘える事に。H君も加わってキッチンで賑やかに食事する。ごちそうになったので洗い物引き受けました。

おかげでカフェが開くのを待たなくてよくなったので予定より早くに出発出来た。

この日は歩きだして初めての晴天で、綺麗な朝焼けを見られた。

 

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町を抜けるともうずっと真っ直ぐな道が続く。時々両脇に並木があったり遠くに町が見えたりはするけれど、だいたいずっと麦畑の中を進んでいく。

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登り坂も下り坂もないから足はそんなに辛くない。ただ進んでも進んでもまっすぐな道の左右に季節外れの麦畑があるばかりで、時々ある距離表示の標識がとても気になってしまう。

朝ゆっくり出てきたH君J君に順番に抜かされる。その時杖無いの? ってH君に聞かれて無いんだよーと。

よく傘なんか置き忘れる性格と、両手を塞いだまま歩くのは自由がきかないんじゃないかな、と思って杖は持ってこなかったんだけどまあ素人考えでしたね。下り坂で足に掛かる負荷がかなりのものでこれは杖が欲しいやつだった。

特に町へ着く直前の丘から下る時にそう思った。

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calzadilla de la cueza

朝からだいたい17.5キロぐらい歩くと着く最初の町。

到着時点で14時頃。次に泊まれるのは13キロぐらい先。

うんやっぱり今日はここに泊まろう。歩いて四日目でさすがに足もガクガクだし。

今日ここに泊まり、明日は約20キロ先の大きめの町サアグンに泊まればちょうどいい距離になりそう。

町が見えたらまずアルベルゲ……を探そうとするが探さなくてもいいぐらいすぐ目の前にあった。しかもとても分かりやすい。

真っ直ぐ歩いて行くと町のすぐ入口に右に1軒、左に2軒、壁にアルベルゲと分かりやすく書いてある建物がある。

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さて開いてるのはどれかな……と調べようとしたら、一番左側のアルベルゲからJ君がちょうど出てきたのでそのままそこにチェックイン。7ユーロでお釣りはなしで出してと言われて両替したかったどころか小銭がほぼなくなってしまった。

ホスピタレイロはDさんという陽気なおじさんと、カフェ側にもう一人いた。

J君あんなに早く歩いてたのにここにいるのがちょっと意外だった。H君はもっと先の町まで歩いていったようでここにはいない。

「知ってる子の隣? コンセントの近く?」

とベッドを聞かれてとりあえずコンセント確保。あと人が多い時以外はベッドは少し間が開くぐらいがいいです。隣男の子だと着替えとか多少気を遣うし。

こんなに早い時間に着いてのんびりするのは初めてだなー。

着いて早々階段を登るのも苦労するぐらい疲れている私にDさんがマッサージがいいぞと言っている。

お湯で温めて、と言っていたのでそうだなあ早めにシャワー浴びるかとか考えながら荷物の整理をしていたら、Dさんが大きなたらいにお湯を入れて持ってきた。え? これ使ってもいいの? わーい足湯だ至れり尽くせりだー。

足を温め、マッサージもしてもらって極楽気分。アイシングがどうのこうのって聞こえた気がするけど……。

Dさんが下りていき、私はしばらくお湯に足をつけていたけど少し冷めてきたからそろそろこのたらいを片づけようか……と持って階段へ向かったところでまたDさんが戻ってきた。大量の氷の入った容器を抱えて。

アイシング、コールド、って聞こえたような。

「え……」

目の前で片づけられるお湯。用意される冷水→氷水。

無理。死ぬ。逃げたい。けど……と逃げられずにいるうちに冷やされる足。無理。冷たい冷たい無理冷たいとギャーギャー叫ぶ。だって冷たいを通り越して痛いんですけど氷水。

やっと終わった……と、Dさんが戻っていった後で置いていってくれたタオルで濡れた床を拭いたりしたり。

けど、なんだかんだでちょっと足が楽になったような気がする。気がするだけで実際階段を下りるとまだきついんだけど。

まだまだ早い時間なので町の中を少し見回ってみよう、と外に出る。

アルベルゲの入口のところにいる鳥。

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小さな町なので、十分もせずにとりあえず他に開いてるカフェやレストランがない事は把握出来た。アルベルゲ1階のカフェで夜は食事出来るらしいので夜はそこにする。

少し散歩してから戻るともう一人巡礼の子が到着していた。韓国の女の子Mちゃん。普通に日本語で会話してくれるので、滅茶苦茶上手いですねと言ったら今は日本で働いているとか。

お湯で足を温めている最中だったので、ああもうすぐ冷たい目に遭うなあと思いつつそっと眺めていました。少し後にやっぱり同じ事やられていたよ。J君は無事だったしMちゃんは別に私みたいに足ガクガクじゃなかったし足湯(氷水)は女性サービスか何かだったのか……。

 

午後二時に到着するとかなり時間があるなあと思いながら、シャワーを浴びたり文庫本を読んだり日記や文章を書いたりして夕食までゆっくり過ごす。

夕食は8ユーロ。小銭だと足りなかったけどやっぱりお釣りがないと言われたので、明日のおやつにチョコとかクッキーとか一緒に買って10ユーロとちょっと。

巡礼向けメニューにワインとお水とあって、Mちゃんがこういう所でもお水は余ったらそのままもらって翌日持って歩く分にしたらいいんだよと言っていたので部屋に戻ってから私とJ君で分ける。

食事中に色々話をした。Mちゃんは当初の私と同じぐらいの日程で到着するのを目標にしているみたい。でもこの辺りは平地が多いからと、私よりずっと速いスピードで歩いている。

私は今のペースだと期間内に歩ききれそうにないという話をした。無理せずバスというパターンも考えていると。

Mちゃん曰く、歩いて四日目なら今がきっと一番辛いだろうけどこれを越えたら楽になる。でも無理しないのが一番だと。無理し過ぎてブルゴスなんかの大きな街で何日もホテルで休むはめになる人の話も聞くし、そうなる前に休んだほうがいいと。

韓国では日本よりカミーノが有名でたくさんの人が歩いていて、巡礼ブログみたいな記録もたくさん読めて、その中には一日十キロぐらいのゆっくりペースの人もいたりしたと。確かにこっち来てからアジア系の人を見たらだいたい韓国人だなあ。

日本で働いてるMちゃんから見ると、やっぱり日本の社会人はこういう旅はしづらい生活してるよねという事らしい。確かに一旦就職すると長期の休みは取りづらいし、大学生も留年せず新卒で就職するのがベスト、みたいな風潮はあるからねえ……韓国もかなりの学歴社会と聞いた事があったけどそのへんはどうなんだろう?

J君とH君は仲がいいけど、それぞれのペースで歩くからいつも一緒というわけではないらしい。Mちゃんは一人旅でハイペース。いろんな巡礼の歩き方があるよねと思った。この日話しているうちに私は毎日の歩く距離を多少減らして、バスまたは電車で後半をショートカットする事をはっきりと視野に入れるようになった。

部屋に戻って今後の旅程を考える。バスや電車を使える街は次のサアグン、その先の大都市レオン、少し先のアストルガ。

週末にスペインの多くの地域で雪が降ってレオン以降は積もったりしているところもある、という話を既に聞いていた。マドリッドは大雪。テレビでもそんなニュースをやっているのを見た。

出発時点で、雪山やあまりの悪天候であれば安全を優先する、というふうに自分で決めたうえで家族に安全第一ですと言って出てきた。

レオンの大聖堂、アストルガの司教館はどうしても見たい。特にレオンは大きな街だし一日じっくりと観光したい気持ちがあった。

まずレオンまでは歩こう。レオンに着いた日と、残りの日程やその時点の天候で残りをどうするか決めようと決めた。