1/16(火)アストルガ~ポンフェラーダ~ルーゴ~サリア
今日は移動日。
朝、準備を済ませる。これから歩くぞって日に比べて気持ち的には気楽だけど、首尾良く一日でサリアまで行くにはバスの乗り継ぎをしっかりしないとと思うと別の意味でプレッシャー。
一応本数には余裕があって夕方までに移動可能なのは確認済みだけど、細かい時刻表までは調べてない。というかネットで日本語でググって出てくる時刻表はない。
朝8時頃はまだ真っ暗。これはアルベルゲの窓から撮ったんだったか。
昨日乾ききらなかったズボンを再度乾燥機にかけて出発したのは8時半頃。外は少し明るくなってきている。
J君H君はまだ準備中だった。挨拶してたらRさんが待ってと言うので少し待つ。巡礼路とバス停は途中まで道が一緒だから一緒に出発するつもりなのかな? と思ってたらなんか自分のリュック持ってないし、先に私を送ってくれるらしい。アルベルゲと往復だと20分ぐらいは歩くのに……いい人だ、と嬉しくなりつつバス停に着き、別れを惜しんでからターミナルへ行ったらちょうど8時50分のバスが行った後だった。話しながらゆっくり歩いたもんねえ……ま、しょうがないし一時間半ぐらいならネットチェックしてればすぐか。
日本とスペインの時差は8時間なので、朝にTwitterとかチェックすると日本は前日の夜。なので外で一人で朝食の時とか、出発前の空き時間とかによく日本の友達の状況とか見ていた。
窓口でチケット買って、ポンフェラーダまでは5.5ユーロ。自由席だけどわりと空いていたのでゆったり乗れた。
到着までは2時間もかからなかった。着いてすぐに次のルーゴへのチケットを買う。これは9.19ユーロ(+何かの手数料の1ユーロ)で13:15発。
バスのチケットを買う時は自販機があったりするし、時刻表があれば指さし、なければGoogle翻訳か最悪行きたい地名さえ言えればだいたい最短のチケットを売ってもらえるし何とかなる。席も閑散期だからかどこも余裕があって、乗り継ぎに困るような場所もなかったけれど、両替機のない場所は多いから事前に10ユーロ札ぐらいまでは崩しておいたほうがよさげ。あと繁忙期に本数が増えるかどうかは分からないので巡礼の多い時期は注意が必要かも。
Ponferrada
ポンフェラーダは巡礼の途中の地でもあるけど、バス停付近は巡礼路から外れているらしく他の巡礼者らしき姿は全く見なかった。市街地のど真ん中で、地図を調べると巡礼路のほうへ行けばテンプル騎士団の城跡というやつがあるらしく、騎士団という響きにミーハーなオタク心を刺激されたものの距離的に片道20分はかかる。いや市街地なんで信号引っかかったりちょっとでも迷ったらもっとかかる。そして停車時間は1時間程度。早足で15分ぐらい歩いたところでどうやら間に合いそうにないので諦めて引き返す。
途中の道でゲームショップ発見! と撮影してから中に入り、店員さんに聞いたらOKだったので店内も撮ってみた。カービィちゃんがスペインでも愛されているのがとても嬉しいカービィ好きは一人にやにやしている。
戻ってバスターミナルで軽い食事。パニーニみたいなやつとカフェコンレチェ。
昨日までに比べてやけに暖かく(地域柄というよりは寒波が去ったらしい)、バス移動なのもあって体温調節がどうもおかしい気がして、この火照ってるのが風邪じゃないといいなと思いながら葛根湯を飲んでおく。
バスに乗って、途中霧のようなぼやけた景色を眺める。
バス移動も楽しいんだけど、巡礼路を外れて道路を行くとなんだか悔しいような、もっと歩きたいんじゃーって言いたいような気持ちになる。いや、自分で決めた事なんだけど。
昨日からの寒暖差についていけてないせいか、山道でもガンガン飛ばすバスのおかげか、元々車酔いしやすい体質の私は途中で気持ち悪くなってしまって目を閉じるか遠くを見るかだ、とひたすら遠くを見たり寝たふりしたりしていた。
車窓からの景色は綺麗に撮れない。
Lugo
ルーゴ着。ここは巡礼路沿いではなくてむしろ巡礼路から外れて少し進みすぎた町。ここからサリアまで後少しだ、と車酔いだったのと時間もあって町はほぼ見ずに次のバスへ。
ここまでは大手ALSAのバスだったけど、ここからサリアまでは地元のMONBOSという会社のバスに乗る。チケットを買ったら係の人が親切にこのバスだよと社名をチケット兼レシートに書いてくれた。
2.55ユーロ、15:20発。
やけに若い子が多いなあと思ったらどうやら地元の高校生の帰宅にも使われてるバスらしい。途中の停留所で降りていく子供達を迎えに親が来ていたりした。ここから更に車みたい……地方の通学が大変なのはどこも一緒か……と前に帰省した時は通学時間帯のちょうどいいバスが1本に減っていた地元を思いだす。
サリアまでは一時間弱。
Sarria
バス停に着いたら巡礼路へ向かって歩きだす。この町は巡礼証明書が貰える最短距離の100キロを少し超えたところというのでここをスタート地点にする人も多く、1週間弱の短期間で巡礼する人達の為にホタテ貝の飾りや杖を売っていてアルベルゲもたくさんある。今までの町に比べて観光地めいた雰囲気も少しある。とはいえオフシーズンなので休んでいるアルベルゲも多く、むしろどこに行けば開いてるのかなあ……といった気持ち。
ホタテ貝、そういや巡礼のシンボルなのにまだ買ってないわ……と思ったけれど後でもいいかと思ってこの時は買わなかった。
なんとなく撮った街並み。
La Casona de Sarria Hostel
La Casona de Sarria -サリア-【 2018年最新の料金比較・口コミ・宿泊予約 】- トリップアドバイザー
巡礼路から少し離れたアルベルゲに決める。年中開いているアルベルゲの中でここにしたのはアプリの評価とかを見て。ホスピタリティや金額なんかの項目は個人差もあってあまり当てにならないけど、「Cleanliness」だけは参考にしたほうがよかった。ここが良い評価の宿はだいたい居心地がよくて、今回の所も当たりだった。
フレンドリーなお姉さんに案内されて手続き。宿泊10ユーロ朝食5ユーロ。朝食ちょっと高いかなと思ったけど、宿で食事のがゆっくり出来るし頼んでおく。これは正解だったと解るのは明日。
小型犬がいる。鼻のぺちゃっとした可愛いヤツ。
ドミトリーは私一人だけど他の部屋に泊まってる人はいたみたいで翌朝の朝食には私の他にカップルがいた。荷物を置いて宿の中を見ようと階段を降りてきたらお姉さんが地下の食堂に案内してくれてコーヒーを振る舞ってくれた。嬉しいなあ。犬は暖炉付近に設置された自分用のクッションでぬくぬくしている。
飲み終えて受付で地図を貰ったら今度はお姉さんは食事のオススメを教えてくれた。15ユーロ以上でちょっと高いけどとても美味しいのは確実な店と、巡礼者向けメニューがある店の2軒。
19時頃まで待ってから出かける。そのぐらいにならないとレストランは開いてないし午後はむしろシェスタでスーパーすら閉まってたりする。
まず近い方の、ちょっと高いけど美味しい店に行ってみる。入口から店内が見えない造りで入口にメニューが置いてはあるけどスペイン語のみ。そして15ユーロは最低価格らしくてちょっとどころでなくお高い雰囲気がある。何となく入りづらい雰囲気もあるなあと思ってもう一軒に行ってみる事に。
その前にスーパーを覗く。お菓子とか水とか果物を補給。味の素のカップ焼きそばがあったけどこの日は買わなかった。
もう一軒は少し離れた場所にあって15分ぐらい歩く。夜の町とはいってもまだまだ子供も歩いてる時間で賑やかで町歩きは楽しい。カフェやバーもあるなあと見ながら歩いて、その店がある通りは川沿いのとても気持ちのいい場所だった。
看板にも書いてある巡礼向けメニューは2皿+ワインで10~12ユーロぐらいだった。お手頃だし店は外からも分かる賑やかさで入りやすい。宿では一人だったのに巡礼者こんなにいたのかよ、と思う。白人は服とか靴で巡礼者か地元の人か見分ける感じだけど、アジア系はおそらく全員そうなんだろうなあ、そしてほぼ韓国人だな、などと周囲のテーブルを観察しながら思う。
この時同じ店内に日本人もいたのを知るのは翌日の事となるのであった。
お腹いっぱいで宿に帰る。ドミトリーは一人なのでちょっと寂しいけど着替えその他何でも気兼ねなく使えるし隣のベッドに荷物も置ける。シャワーも使いやすいしトイレも綺麗な良い宿でした。
明日からまた歩くぞという思いを新たにしつつ寝る。明日はついにラスト100キロに突入。
バス移動まとめ
アストルガ~サリアはバスで1日の移動は全て当日のチケット購入で余裕(2018年1月時点。繁忙期に増便とかがあるのかどうかは不明)
1本ぐらい乗り逃しても夕方にはサリアに着ける時間の余裕はあるが、ポンフェラーダで観光などしたいなら一泊したほうがいい。テンプル騎士団の城跡はバス停からは遠く、外から眺める程度もついででは無理。
山を越える時の運転は荒い。酔いやすかったら酔い止め必須。
この区間を一日で移動する日本語の記録が見つからなかったのもあって書いてみた。私は日本の巡礼協会のバスのページを参考にしつつ、駄目だったらどこか泊まればいいやで見切り発車したが。
だけどもう一度カミーノを歩く機会があったら、その時は今回ショートカットした区間も歩きたいな。今度は雪のない季節に、日程の余裕をもってイラゴやセブレイロに挑戦したりポンフェラーダもゆっくり見て回りたい……帰国後に再就職してしまったのでいつになるかは全く分からないのだけど。
1/15(月)オスタル・デ・オルビゴ~アストルガ
朝七時頃に起きる。私一人のアルベルゲで準備を済ませ、用意されてる朝食の中から好きな物を食べるようにという事でコーヒーとシリアルとブラウニーをいただく。
シリアルにかけるのは牛乳は置いてなくて、冷蔵庫の中には豆乳アーモンドミルクココナッツミルク。とりあえずココナッツミルクにしてみた。
ブラウニーもバターじゃなくて他の油で作ったやつらしい。あとフルーツもたくさん置いてあったのでミカンを少し戴いた。
昨日の夕食と朝食は寄付、という事なんだがとても美味しかったしよくしていただいたので最初に考えてた金額より少し多めに入れていく。こういう時にちょうどいいと思える金額を出せないと申し訳ないし、やっぱり適度に細かいお札や小銭を作るのは大切だ。旅の後半はどこでなら50ユーロ札を崩せるかとよく考えた気がする。
誰も来ないキッチンで洗い物を済ませ、8:15頃に外に出るとエドが歩いてきて、裏口を開けてくれた。来た道とは違う方向を指差して、こっちに行けば巡礼路に出られると教えてくれる。畑の真ん中の道を突っ切りながら行くとすぐに巡礼路に戻れた。
エドは昨夜、明日歩くには二種類の道があるけどこっちの自然豊かな道のほうがいい、と熱弁していた。正直私は(また短くて道路沿いの道と自然豊かで長い道か……)と苦難から逃げたい気持ちだったが、よくよく聞くとだいたい16キロと17キロ。1キロしか変わらないんだったらいいや昨日は30キロ歩いたわけだし、とエドがおすすめするほうの道を素直に行く事にした。
今日も足元が悪いのでゆっくり歩くつもり。後で書くけどこれ以降の日程は体調の事などあり、慣れとか色々の事を踏まえるとレオンからアストルガまでのこの二日間がカミーノの中で一番歩く事そのものを楽しめた日だったと思う。前半の何でも新鮮だった足の痛い日々も、後半の人が増えていろんな人と交流させてもらった日々も全部楽しかったけどまあ歩く事自体という意味で。
旅も日程的にはもう折り返し地点。今日の目標はガウディの設計した司教館たあるアストルガ。
雪は道にはもう残っていないけど、道端の植物には真っ白い霜が降りていて、この幻想的な風景は日が高くなる時間まで続いていた。日陰では夕方にも見られたりした。陽の当たらない奥とかは雪が残ってる場所も少しあって、緑がない代わりに霜が花みたいに綺麗で可愛い。
白と茶色しかない風景が長く続いている。歩く予定の距離はさほどではないけれど、とにかく寒いので座って休もうとしても逆に歩かない事で冷えて体力がどんどん削られていく。
畑の真ん中にぽつんと立っていた小屋。ドラクエだと無人で宝箱が置いてあるか、一人だけ住んでて情報をくれたりしそうな小屋だなあと思いながら撮影。倉庫か何かなのか、今は人の気配が全くなかった。
白い部分は殆どが昨日までの雪ではなく霜。気温的に東京や私の地元ではなかなか見られない光景に目を奪われながら歩く。
飛行機雲! ここに来るまでこんな晴天があまりなくて、飛行機雲も見られなかったから思わず何枚も撮った。
いきなり人形が立っていてびっくりするような休憩所。
道の途中、開けた場所がいきなり出てきた。なんかこう、ドラゴンとか出てきそうな水辺の奥に洞窟の入口とかありそうな風景だな素材とか拾いに行きたいな……と日本にやりかけのドラクエ11を残したままだった私は思う。
昼頃、もう10キロ以上歩いた辺りで突如出現した看板と小屋。
どうやら巡礼向けの休憩所とか簡易カフェ的な場所らしい。手前の円陣、なんか呪文唱えたくなるやつ。
人の多い時期はきっと賑やかなんだろう。今はここの人らしいお兄さんが何か作業をしていたきりで、私を見かけると韓国語と日本語で立て続けに挨拶してくれたので日本語で返し、休憩はさっき別の場所でしたばかりだったのでそのまま歩いた。
アストルガの街が見えてきて看板などもあり。しかし街が見えて気が緩んでからザックを置いて休めるまでが長いんだ。
正直本日最大の難関だった何もない道。何もないんだけど、この日陰の道は雨樋から流れてる水の大半が凍結しているという恐怖の道だった。杖でつつきながら出来るだけ凍っていない場所を慎重に歩いていく。この道を抜けてからもすぐに街には入れず、長い歩道橋を越えてやっと街中に。
アストルガ
14時頃、アストルガ到着。わりと大きな街だけどアルベルゲは公営しかやっていない。5ユーロ。
荷物だけ置いて、アルベルゲの設備とかを確認したらすぐに街歩き。チョコレートの街というだけあってチョコの店が幾つもある。街外れにチョコレートの博物館というのもあるようだけど、これはちょっと遠いのと、スペイン語読めないときついと予想がついたのでチョコを買うだけに。普通の板チョコ二枚と苺のやつ(写真右下のと同じ物)買って、帰国後に食べたら苺のチョコが滅茶苦茶美味しくてこれは荷物増えるとか言わずに他の味も全部買っておくべきだったと後悔。あとよく読まずに白いのと黒いのをホワイトとビターだと思って買ったらミルクとビターでホワイトチョコも食べてないのが残念。
ここが楽しみだったアストルガ司教館!
ガウディの設計だけど色々あって(主にお金とからしい)完成までかなりの年月がかかったという建物。まずは外で写真を撮って、先に明日乗るバス停を確認する事に。
司教館向かいの建物。ここも素敵。
バス停に行き、明日のバスの時間を確かめる。窓口に人はいないけどこれもシェスタなのかな? まあ明日行けば乗せてもらえるだろうととりあえず時刻表を写真に撮っておく。
バス停は司教館から近いというか裏手に回ったところだけど、バス停を境に見える新市街(だと思う)は近代的な住宅街ぽい。開発する地域としない地域をしっかり分けてるんだなあ日本だと京都とかそんな感じだっていうよな、などと考えつつ司教館に戻る。
いよいよ司教館に。ここは絶対観るぞと決めてたから楽しみ。
庭。
内部には解説図みたいなものも。司教が住むのを前提の設計だけあって、これまで見た聖堂に比べるとこじんまりとして可愛い。タイルで装飾された壁面とかステンドグラスの窓とか色々撮りながら歩く。アストルガでは巡礼じゃない観光客っぽい人も見かけたけど、私が行った時には他に人はほぼいなくてゆっくり回れた。
階段を降りた地下は地上階とは違う無骨な雰囲気で、色々資料が展示された小さな博物館の様相だった。
ステンドグラスの窓際に置かれたテーブルと椅子とか、ここに住む予定だった司教についてやら色々考える。
館の中に小さい館の模型もある。可愛い。
司教館をたっぷり堪能してから外へ出る。来た時とは違う道から帰ったんだったかな。途中のゲームショップに3DS。スペインで感じた日本はレオン手前で見たKAWASAKIの看板とゲームショップぐらいだった。
アルベルゲに着くと他にも巡礼の人達がいて部屋は賑やかになっていた。白人の男女二人組とおじさん一人、それからJ君H君とまた一緒になった。J君とか私の顔見た途端に「amazing……」とか呟いていて、いやそりゃ私が一日レオンで過ごしたのに今日また会うとか凄いけどさ、30キロ歩いたり頑張ったんよ……などと言いたい気持ちに。
あと昨日感動の別れをしたRさんがまたいました。凄いね会えたねと言いながら握手。
アルベルゲは1階(というか階段上がって入ったから実質2階?)に受付と部屋があり、2階以上は多分閑散期だから使ってなくて、地下(実質1階?)に食堂と洗濯場があり。部屋のコンセントはもう使用中だったから食堂で充電しつつ日記を書いたりしてました。
シャワーは5ユーロだから文句は言わないが冷たかった……風邪引かないぎりぎりのぬるま湯。
冬は人が少ないからどこのアルベルゲも間に合わなくて水、という事はない代わりに、給湯器の限界でお湯が冷たいパターンは結構遭遇した。もう初対面の巡礼同士、シャワーどう? 冷たい? が挨拶代わりになるような……。
冷たいシャワーを耐えて外に出て、後は洗濯。一度も洗ってないズボンをさすがに洗った。
洗濯機を使えばよかったのに小銭を惜しんで手洗いして乾燥機だけ使おうとしたらまあ当然だけど脱水が足りなくて乾かなかったよね……一晩ヒーターの上に干して、翌朝もう一回乾燥機かけて着られました……。
Rさんに夕食どうする? と聞かれ。私は元々外で食べるつもりだったから「レストランに行く」と。Rさん曰く、「最高のパスタを作るつもりだったがこのキッチンは寒すぎるから食べに行く」という事で一緒にどうかと。OKして19時に待ち合わせ。J君H君達はどうかなあと思って見てみたけど既にキッチンで何か始めていたので特に誘ったりはせず。二人は仲良しで和気藹々としていて微笑ましい。
巡礼用のメニューのあるレストランに行く。
ふかしたジャガイモに半熟の卵がかかったやつ。美味しいけどボリュームあり過ぎで普通のサラダにしておくべきだったか……と思いはしたけど全部食べる。スペイン来てからどうせ歩くしと思って食い放題である。
ハムステーキ美味しいし普段食事中に飲まないけどワインとセットのご飯も美味しい。
食べたついでにRさんと記念写真など撮っていた。Rさんは28日にサンエィアゴ・デ・コンポステーラに着く予定というからもう会えないだろう。私は26日帰国で明日はバスに乗る。
フィニステラに行くのを諦めて、サンティアゴ・デ・コンポステーラ到着その夜の夜行でマドリッドへ戻るような強行軍ならバスなしも可能そうなんだけど、この先はほぼ登山な勾配が続き、巡礼後半最大の難所って場所もある。平らな道でも雪で転んだ私が、万一雪が残っていたら歩ききれるとは思えないので明日からの山はショートカット。
正直言うと帰ってもどうせ無職だし、で帰国便の切符を買い直してゆっくり歩く事も考えた。それぐらい歩くのが楽しくなってたし、クレカとデビットカードと持参してたから可能ではあったけど、ここに来る前に心配してくれたいろんな人に危険はちゃんと避ける、と言ってきた手前雪山(かもしれない山)に突っこむのはやめておく。安全第一。
Rさんも残念がってくれたけれど、飛行機がと言うともうそれ以上引き留めないのは他の人と同じ。皆事情があるからお互い無理は言わない。
食べ終えてさあ帰るかという時、順番に払うものだと財布出して待ってる目の前でRさんにクレカで二人分払われた……いやおい待てや、と言うもまあまあ、で返される。あんまりさっくり払われるから止める間もなかったし店員さんも当然のように会計してるし……。
いや、おそらく10歳ぐらいは年上だしここが日常の場所なら年上に飯を奢られたらにっこり笑ってありがとうが正解なのは判ってるが、カミーノの道中でやられると何か違うんだ……と思うがそこまで微妙な心情を言い表す英語力もないので最終的にはにっこり笑ってありがとうで終わった……。
部屋に帰る。満室で賑やかな夜だった。
明日はバスに乗るからもうJ君H君に遭遇する事もないんだよなあたくさん会ったよなあ……などと思いつつ就寝。
1/14(日)レオン~オスタル・デ・オルビゴ
朝八時。お菓子と果物を食べてホテルを出る。暖かい部屋が名残惜しい……などと思いつつドアに鍵を差して歩きだす。
巡礼路はレオンの街中を通って、大聖堂やサンイシドロ教会などを順に巡ってから街を出ていく。天気はいいけどあちこちに雪が残っている。
レオンからアストルガまで二日で行きたい。そしてアストルガの司教館を見たいので二日目の距離は短めに。なおかつ時期的に開いている宿は……などと考えると今日は約30キロ歩くしかないという結論に。
大丈夫。一日休んだしなんとかなる。
新市街のほうかな。市役所みたいな建物は大聖堂や教会とは全く違う雰囲気。
そして融雪剤を撒く人は今日も早朝から頑張ってくださっていた。おかげで街中に関してはすいすい歩ける。
住宅地や平地のうちにがっつり歩いて距離を稼ぐんだ、と思っていたが、市街地から離れていくと雪で足元の悪い所が増えていった。坂や階段みたいな場所も歩いたけど滑ったらどうしようと滅茶苦茶怖かった。杖があってもリュックを背負っているのでとっさに体勢を立て直すとかそういうのは難しい。出来るだけ落ちついてゆっくり歩く。
除雪されていない歩道も雪が凍ってしまった道もどんどん増えていく。
私みたいにレオンに数泊する人や、レオンから歩き始める人も多いのだろう。朝に街を出てから私を追い抜く人、見かける人はこれまでの街で見ていない顔だったりした。
明るくなって少し経った辺りでわりと年上の男性に声をかけられる。
Rさんというその人はミラノから来ていて、英語は話せるけどあまり得意ではないらしい(とはいえ私と比べたら天と地レベルで話せる人なのだが)。でも話し好きのようでこれまでの巡礼の話をたくさんしてくれた。同じブルゴスから巡礼を始めた仲間でもあった。
英語が母語でないRさんはゆっくりと、比較的簡単な単語を使って短文で区切った話し方をするので私にとってはとても解りやすかった。
昨晩はアルベルゲでパスタを作ったとか。そして一緒にいた韓国人の男の子にも振る舞ったが彼は物凄い勢いで美味い美味いと食べた、というような話をジェスチャー付きで楽しそうにしていた。料理が得意なのが自慢らしい。あと日本人の女の子とも仲良くなったよとかでFACEBOOKを見せられた。私も訊かれたけど残念ながらFACEBOOKとか本名系のSNSはやっていない。
途中お腹が空いたのとトイレに行っておきたいのとで道端のカフェに入る。チョコデニッシュとカフェコンレチェ。どうせ歩くぜと思うともはや甘い物を食べるのも飲み物に大量の砂糖をぶっ込むのも躊躇いがない。むしろ食べておかないと寒さと空腹のコンボは危険だ。
途中私達を追い抜かしていった人がいたんだが、それがあんまり美人さんだったので思わず視線で追ってしまう。多分結構若くて大学生ぐらいかなと思うんだけど、一瞬女性かと見まごうような綺麗な男の子だった。するとRさん曰くあれはドイツの男の子だよ、とちょっと知ってる素振りだった。
途中、Rさんが植物を書いた看板を指さして何か言う。
聞き取れなくて看板の絵を見てメープル??? と困惑していると彼がまた言う。今度はちゃんと聞き取れた。この葉っぱはメープルじゃなくてマリファナ……ここは大麻の店なのか。
ほー凄いものがスペインにはあるんだな-、などと思いつつも健全な徒歩旅なので当然寄らない。
商店のある通りを過ぎると、建物はそこそこあるのに人気のない地帯に入る。会社? 工場? みたいな四角くて愛想のない建物と後は道路と車、みたいなところ。そして滑るのが怖い坂道も再び出現する。
雪の上をあえて楽しそうに歩くRさんの背中を撮影。Rさんに限らず欧州の人(というかスペインから比較的近いところから来てる人)は荷物が少ないタイプが多かった気がする。上下身体にぴったりのスポーツウエアで防寒はダウン一枚に任せた、みたいな思いきりのいい服装が多かった。何かあったら買えばいいや、みたいな感覚なのかも。韓国の人のが帽子なり着替えの服なり多めに持っているタイプが多いような。
わりと楽しそうに雪の上を歩いていたRさんと後ろで雪のない車道を歩く私。
そこからしばらく歩いたところで巡礼路の分岐点があった。
北(右)の道は現在の巡礼路。広い道路に沿った道で最短。南(左)の道はメインルートではないけど、自然が楽しめる少しだけ長い道。
私は最初から道路沿いをいくつもりだった。南の道の情報は持っておらず、今日の目的地は30キロ先だし、何より足元が悪い。自然を楽しむにはこの雪は心配だった。
Rさんは南の道を行くつもりだったようで、出会って二時間足らずで別れがきてしまった。お互い名残惜しかったけれど無理に引き留めたりもしない。行きたいほうに行くのだ。
今日の目的地であるオスタル・デ・オルビゴで道はまた一つになるはずだし、どこかでまた会えるかも。
道を少し外れると雪の残った平原だ。天気はいいのに雪は昨日から残ったままのよう。
分かれ道の看板は二か所ぐらいにあった。
一人になってからすぐに、道路沿いの道も車道以外は雪だらけになった。道の脇の誰も踏んでいない雪はとても綺麗でうっかりしゃがんでは触ったりしていた。
カービィだって描いちゃうぞ! でも遊びすぎると厚い靴越しでも足が冷えてくるから注意。
道路沿い、とはいえ巡礼路は道路に沿った土の道なので普通に積もっている。
途中で凍った道ですっころんだりした。服の上からでもしっかり膝を擦りむいていて、これを書いている今もまだ少しだけ痕が残っている。……老化とは傷の治りが遅くなる事……。
その後もう一度転ぶ。仰向けに、リュックがクッションになる形でこけたから怪我はなかったんだけど向かいで犬の散歩をしていたお兄さんが慌てて駈け寄ってきてくれたよ。
そこから暫くは足元が不安なので出来るだけ道路寄りの雪の少ない側を歩いていた。
しばらく歩いた先に謎の吊された靴。確実に手の届かない高さなんだけどなんだろうね。
ご近所の家にわんこ。塀に近づくと二匹揃って駈け寄ってきた。可愛い。
午後になると雪は溶けて歩きやすい道がまた増えてきた。
トイレに行きたくてたまらない。山の中ならどうにでもなるがこんな車の多い大通り沿いでそのへんで済ますのは女子としてどうなのか。焦っていたらちょうどいい感じにカフェがあったので入る。
入口にホタテ貝のマークがあったし巡礼向けでもあるんだろうけど、今の時期は巡礼路に併走している道路を仕事で走ってるドライバーが客の大半、みたいなカフェだった。女子は私一人、なのでお手洗いは待たずに済んで本当助かったぞ……。
カフェコンレチェのビッグサイズだけ頼んだのにシナモンのフレンチトーストが付いてきた。隣のおじさんのコーヒーにはないが……? 巡礼向けサービスなのかレディースサービス的なやつなのかは定かではなかった。
お金を払う段になって、「イチトヨンジュウキュウ」と言われて面食らう。
ワンでもウーノでもない……?と頭がすっかり混乱した状態で、とりあえず足りるだろうと2ユーロ出したらお釣りが51セント。「ありがとう」と言われてやっと日本語だったと気づいてこっちもありがとうと返す。
あまりにも日本語通じないし巡礼だとだいたい韓国人だと思われるから向こうから言ってくれるはずがないと思いこんでたんだねと反省。
歩きやすくなってきた道。でも日が傾き出すとあっという間に寒くなる。
レオン州は巡礼路の目印もそれまでとは形が違う。というか州ごとに違うのかな?
オスタル・デ・オルビゴ Verde Hostel
宿泊予定の街へ着いた時にはもう日が暮れかけていた。
長い橋みたいな石造りの道の向こうに街がある。ここからが長いよね……と思いながら歩く。ここ自体がこの街の名所みたいで、私も写真を何枚か撮った。
橋を渡りきりやっと街中へ。
この街に泊まれるアルベルゲはアプリだと三つ。街の入口の私営と、中心の公営と、街外れの私営。街の入口の建物は目立っていたけど、道から少し離れていたので、まあ巡礼ルート沿いの公営でいいかーとそのまま歩く。10分ぐらい。まあそれが間違いだったよね。
公営アルベルゲには、情け容赦ない「Close」の文字が。
その下にここは開いてるよってチラシが貼ってある。街の入口と、街外れと二か所。ぶっちゃけもう歩きたくない。でも戻るか進むかだったら進むしかないだろ、って事で街外れを目指す。
最終的にこれが大正解で、この旅で一番好きになれたアルベルゲに巡り会えました。
ベルを鳴らしたら男性が出てきて、中に入ったら男性と女性がもう一人ずついたから先客かなと思ったけど今日泊まる巡礼は私一人みたい。道中見かけた皆はどこに泊まっているのだろう……と思う。
エドとアヤとパブロという三人がやっているらしい。まずどうぞ、といただいたハーブティーが冷えた身体に染み渡る。
宿泊は11ユーロ(多分)で、夕食と朝食は寄付なので明日発つ前にこの箱に気持ちを入れて、という事で近くに店もないしここでご飯も食べると決める。
シャワーを浴びてすっきりした頃にご飯。
米かパスタかと聞かれていて、パスタと答えていたけど想像していた麺じゃなくて1センチぐらいの短いやつをご飯みたいにした感じで、豆と野菜たっぷりのパエリアに近い食べ物だった(名称が分からず語彙もない……)あとは野菜のクリームスープとサラダとデザートと。
食べる前にパブロによる歌とギターの演奏が始まって一瞬びっくりしたけどとりあえず手を叩く。これは人数が多かったら楽しかろうなと思ったけど私一人でも十分楽しかったわ。いや、こんな歓迎されるの嬉しいし。
食べてる途中であっこれもしかしてビーガン食ってやつかな、と気づいたけど失礼でない英語での訊ね方も分からないし美味しいのは間違いないのでそのまま食べる。一人分にしてはかなり多いぞ……と思ったけど途中からエドが食卓に加わったのでちょっと多いぐらいで済んだ。
パブロとアヤはカップルでそのどちらかとエドが兄弟なのかな? 途中でエドのお母さんという人が帰ってきて私はなんか誉められた。
食事後、パブロとアヤは先に帰り(家は別にあるらしい)、お母様も帰り、私は食卓で日記と小説を書き、エドはパソコン机で事務仕事をしたりテーブルでハーブティーをティーパックに詰めたり。
ノーパソ持ってきたエドが絵葉書を見せてきて、知ってるかと。千本鳥居の写真で隅っこに伏見稲荷と書いてある。裏は以前宿泊した日本人のお礼状みたいだった。
なんというか説明が難しかったのでエドのノーパソに「husimiinari」と打ちこんで検索。いろいろ出てきたみたいで喜んでもらえた。
日本のカミーノは四国島(直訳)って言うんだっけ? みたいな質問に、カミーノと提携してるのは熊野で、と言うがやはり英語力が足りない。四国八十八か所は仏教で熊野古道は神道、とか英語じゃ説明しきれないしそもそも熊野と四国がどれくら離れているかも私は正確には知らない。
うーん英語力と知識と両方必要だ、と改めて実感しつつ言える限りの説明をしてみたけどほぼ翻訳頼りでした。
私が寝る前にはエドは明日の朝食の説明をして帰っていった。机上のブラウニーと果物と、あとパンとシリアルもあるよと。私一人なのにそんなに選べるとか豪華……。そしてシリアルにかけたり飲むのは豆乳とココナッツミルクとアーモンドミルク? やっぱり牛乳や動物性蛋白質はないし、ハーブティーも手作りだしビーガン的な食生活をしてるおうちのようだった。
肉が食べられないのが大丈夫なら最高の宿だったと思うし行く人にはここがいいよって勧めたい。もしまた歩くならここ泊まりたいと思う。
建物内に一人だったけど、夕食時をとても楽しく過ごしたのと30キロ歩きの疲れもあって、楽しい気分のままその夜はすぐ寝てしまった。
1/13(土)レオンにて
今日は一日レオンで過ごす予定。
外は雪。もう積もりだしている。アルベルゲは朝10時までいられたのでギリギリまで室内で過ごす。出発する組も結構ギリギリの時間まで寝ている。
私はレオンで一日過ごすのでもう会わないかもねとJ君と言いあってから外へ出て、近くにカフェがあったよなと歩きだそうとしたらホスピタレイロに止められる。
「巡礼路は反対だよ」
「いや朝ご飯を……」
「食事なら道路向かいのカフェのがいい。あっちにしなさい」
と強く勧められたので向かいのカフェに行ってみる。オレンジジュース美味しい。店によっては目の前でオレンジを搾ってくれるので粒々感も凄くてこの後もわりといろんなところで飲んだオレンジジュース。カミーノに戻る道も教えてくれたがごめん私はあと一日この街にいるんだ……。
外はかなりの雪だけど、道路には昨日の時点で融雪剤をガンガン撒いていたので街中は全く歩きづらくはない。足元は雨の日程度。
個人商店がたくさん入ったモールみたいな所? ここで果物を少し買った。
Pension Sandoval 202号室
雪の中、サンイシドロ教会をもう一度外から見たり、開いてる商店を眺めたりして時間を潰す。今日泊まる所のチェックインは12時以降だったのでそれまでふらふらと。大聖堂にはザックを背負っていては入れないのでまだ行かない。
さて12時を過ぎてから向かった。実は今朝出たアルベルゲの目と鼻の先なのは昨日の夜知った。市街地の真ん中にある便利なアパートメントホテル。
着いたら建物の鍵が閉まってて、「閉まってる時に着いたら電話してね」と紙が貼ってある。私のスマホはデータオンリーのSIMなので電話出来ない。
とりあえずBooking.com経由でメールしてみたら10分と経たないうちにお姉さんがやってきてドアを開けてくれた。
3階の事務所にまず行って手続き。クレカ払い可能で3400円ぐらいだったような。シングルルームでトイレとシャワーは共同。
シングルベッド二つのツインと、セミダブルベッドのシングルと二つ見せてくれてどっちがいい? と訊かれたからベッドは二つもいらんけど大きい方がいいな、という事でセミダブルの部屋に。選ぶと目の前でベッドメイクが始まる。
ところでここの階にはこの後私の他に二組来たのだが、私がシングル二つの部屋を選んでいたら後から来た女子二人はセミダブルになっていたのだろうか。謎だ。
3階と4階がホテル部分らしい。部屋はとても可愛いし暖房が効いていて薄着でだらだら出来る。
私の杖を見てお姉さんは、「カミーノ? 寒いのに大変ねえ」みたいな事を言っている。
建物入口の鍵と、3階入口の鍵と、部屋のドアの鍵がセットになっているのを渡される。
「明日の朝早いんだけど鍵はどこに返せばいいの?」
「窓をきちんと閉めてから、部屋のドアに差したまま出ていけばいいわ」
キッチンにはお茶とコーヒーが置いてある。料理も出来る。キッチンの横のリビングにはテレビもある。洗濯機乾燥機は別料金。
リビングは一人で来たんじゃなかったら皆でわいわいやるの楽しいだろうなという雰囲気でなかなかいい。
一通り説明されて頷いて。寒かったら毛布はクローゼットの中にあるし(しかし十分暖かい)、寝袋を出さなくても寝られるし最高ではないか。
さて行くかと思ったけど、大聖堂はシェスタがあるので14時頃から夕方まで休みだ。今から行ってもすぐに閉まってしまうので一寝入り。殆ど身体を休める日と化しているがしょうがない。疲れているのは事実だし。
17時前に起きてカテドラルへ向かう。ホテルの建物の入口。
カテドラル付近も雪が溶けてどろどろになっている。
入場料は6ユーロ。確か巡礼割引はなかった気がするけど、外にスタンプを押す所はあった。
ステンドグラスが凄いって言われてた通り、周囲を囲まれて圧巻だった。修復中のものもあって全部を見られるわけじゃなかったけどあっちを見てもこっちを見ても綺麗で写真も撮りまくった。
柄の一つ一つにも意味があるとか。
こういうのを見ていると宗教っていうのは長い時間かけて人間が作るものなんだなと実感する。
外側の中庭のような所のほうにはミュージアムショップ的な売店もあってそこでスタンプがもらえる。
一日休みにしてゆっくり見て回ってよかった。これは歩き疲れたついでに見るようなものではない。来てよかった。
じっくり過ごしてから外に出る。ちょっと疲れた感じのミニーちゃんがいる店を発見。
街歩きは楽しいけど、荷物を増やすと大変な事になりそうなのであまり買ったりは出来ない。
夜はここで食べようかなと思ってた店がまた閉まっていたので別の店に入る。
巡礼向けメニューとかではないのでちょっと高かったけど美味しかった。
〆はプリン。
部屋に戻る。同じ階は行きがけにすれ違った女の子二人組の他にアジア人の男性一人。風呂もトイレも二つあるので被って困る事も特になく、かなり快適に泊まれました。日記を見返すとバスタブ最高とか書いてあるのが笑う。ちなみにタオルは各部屋にあるけどシャンプーやアメニティはないので持込み。
大聖堂をゆっくり見て街を歩いて、のんびり休める部屋でだらだらして。たいした事はしてない日だけどとてもよかった休息日でした。
1/12(金)マンシラ デ ラス ムラス~レオン
今日はレオンへ辿りつくぞ! という事で気合いだけは十分なスタート。
インスタントの味噌汁だけ飲んで出発。
紫と水色と黄色の重なった朝日を見られた日。
出発してすぐにバナナを食べてまた歩く。休憩は、座りたいから食べるのか食べたいから座るのか曖昧になっている。人の少ない山道なんかだといっそ歩きながら食べたりもしている。
途中の町のカフェ。まだ昼には早かったけど次の町にカフェがあるのかどうか判らない事と、窓に四国遍路の案内が貼ってあったのでここに入ってみる事に。
同じ世界遺産の巡礼道として提携しているのは熊野古道だけど、四国八十八箇所も巡礼の道としてスペインでも知られているようだった。
でかくて甘いデニッシュに甘い飲み物。至福だ……。
道なりにある休憩所で初めて水が出ていた! ここまでの所は閑散期のせいかほぼ涸れていたのに。
休憩ついでに飲んでみようか迷った。水自体は持ってるし、水道水飲めるスペインとはいえ余計な事をして調子悪くなったらまずい……。
と迷っている間に道の脇に車が停まる。両手にボトルを持ったおじさんが出てきて水を汲んですぐ去っていった。スーパーのウォーターサーバーみたいな使い方されてるのか。
ちょっと安心して一口だけ飲んでみた。普通の水だった。
道路沿いに街は続いている。でも巡礼路は街を外れて、道路に平行に沿うように舗装されていない坂道を上る事になる。
十数メートル隣に舗装された平地の道路が通っているのに何故こんな荒れた道を歩かなきゃならないんだ、と不満たらたらに登る。けれどふと横を見るといつのまにかその街を見下ろす高さに自分はいて、眼下の街の風景を眺められるというだけでああ登ってよかったと思うのでした。多分、あの街中をただ歩くよりずっと綺麗なものを見られたんだと思う。
途中のフェンスには先客達が十字架をたくさん掲げていた。
私は別にカトリックじゃないけど倣って十字架を一つ作っていく。この場所に意味があるのか、単に皆やっているからやっていくのかもよく解らないけれど、風習というものはこうやって生まれるのかななどと思ったりもする。
そういえば巡礼路の目印に写真を供えたりしてる光景もよく見るけどあれは自分の写真なのか、家族や大切な人の写真を持ってきているのかどっちなんだろう。なんとなく後者っぽいけれど。
坂を登りきったあたりでおばあちゃんに話しかけられる。スペイン語の超早口なので全く理解出来ん……杖を見たいみたいだったので渡すと、地面を思いきり突いて満足顔をしていらっしゃる。なんとなく、「こうやってしっかり突いて歩きなさい」と言われているような気がした。
歩いて歩いて下りて、また平地を行く。
巡礼路に歩道橋らしきものが。
階段がないから自転車でも車椅子でも馬でも同じ巡礼路を歩けるのかな。
とはいえ長くて傾斜があるので、もしも悪天候で足元が悪かったらと思うと怖いやつ……。
見覚えのあるものを見かけるとちょっと嬉しい。
LEON
レオンに入って少しした辺りで、通りの反対側からおじさんが声をかけてくる。巡礼の案内所みたいなところだった。中に入ると先客の韓国の男の子二人組がちょうど出ていくところだった。
開いているアルベルゲとか、サンイシドロ教会のミサの時間とか、今後の高低差の載った表とかいろいろ教えてもらう。
親切でフレンドリーなおじさんは手が空くと表に立って巡礼を見つけては呼び込みしているようだった。
「あの上見てごらん(写真左上)」
みたいな感じで鳥の巣自慢をされた。
綺麗な街並みなのにこんなにペンキべったりに黄色い矢印……いいのだろうか。判りやすくてありがたいけど。
街中にはおもちゃ屋さんもある! ドラえも~ん!!!
San Francisco de Asis Hostel
アルベルゲはさっき教えてもらった時に開いている所も聞いて、最初に考えていた所より別のところのほうがいいかなと思ったのでそこにする。
そうしたらまたJ君がいた。もう毎回会うよね。
大きなアルベルゲで、個室もあるし(高いけど)、キッチンも玄関先にコインロッカーもある。10ユーロ。
私の他に既に4人いて、二段ベッドの上の段になる。上で寝るの初めてだから落ちたらどうしようかとドキドキする。
J君の友達H君も久々に同室。あとは凄く若い女の子がいるなあ高校生ぐらいかな、と思っていたらお父さんと親子で来ているようだった。
大きくて広くて綺麗で使いやすいアルベルゲではあったんだけど、トイレシャワーが部屋ごとに一つずつだったので誰かがシャワーを浴びているとトイレは1階まで下りないといけないのがちょっと困った。
さくっとシャワーを済ませて休憩してから早速街を散策する。
19時からミサと聞いていたのでサンイシドロ教会へ行ってみる。
既にたくさん人がいて、大半が年配で地元の信者さんみたいだった。
厳粛な雰囲気に私の場違い感が凄い……と思いつつ一番後ろに座る。巡礼っぽい人は他にいなかった。
地元のお堅そうな人達に囲まれてとりあえず黙って座っていようと思う私。静かに厳かに進むミサの中、鳴り響く誰かのスマホ。慌ててごそごそする前方の席のオッサン。
スマホでやらかすのは万国共通なのかしら、と思った。ちなみに歩きスマホは街を見渡せば結構やっている人がいたし、巡礼も大半が本だけでなくアプリの地図を使っていた。
教会の中は撮っちゃいけないっぽかったから写真は残ってないけど、やっぱり装飾や絵は素晴らしくていいものを観たなと思いました。
30分程いて、他の人が退出するタイミングで私も出る。
アルベルゲのすぐ近くに巡礼メニュー有りの看板が出ていたからそこで夕食を食べようと思っていたのに閉店している……。グーグルマップに載ってるレストランも冬だから(?)閉店しているところが結構多い。広すぎてどこで食べたらいいのか分からん、と街中をフラフラ歩きながら、結局無難なバーガーキングへ入り無難なセットを頼む。
ドリンクはネスティーを頼んだのにファンタオレンジがきたけどもういいやとそのまま飲む。
宿に戻って、だらだらまったりしてから寝た。
明日は一日レオンに留まって大聖堂見学する予定だ!
1/11(木)エル・ブルゴ・レネロ~マンシラ デ ラス ムラス
目が覚めたら煙臭かったのか、煙臭さで目が覚めたのか。
昨日の夜におじさんが暖炉に薪をかなり足しまくったせいなのか、何だかアルベルゲ内が全体的に煙臭い。
(そして荷物の布類のうちジップロックに入れていない大半が数日間煙臭くなってしまっていた)
りんごとサアグンで買った甘いパンを食べる。J君が起きてきて朝ご飯行く? と訊いてくれたけど、もうりんご食べちゃったんです……朝店が開くのは9時ぐらいだし、私は歩くのが遅いからもう出るんだよ……という事で彼を置いて8時過ぎに出発する(そしてそれでも昼までには抜かされる亀が私だ)。
今日はとてもいい天気!
日の出の写真を撮ってまた歩く。
少し経った頃に後ろから誰か来る気配。J君かなと思ったら違った。追い抜いてもらおうと道を空けて、ブエンカミーノ、と挨拶しようとしたら日本人っぽい。
「日本人?」
「日本人だよ」
みたいなやりとりをしたすぐ後に、
「もしかしてユキさん?」
と訊かれる。
「ふぁっ……? 何で知ってるの?」
「二日前に泊まったアルベルゲの、黒人のホスピタレイロがユキって日本人の話をしてたから」
「あーDさんか!」
私の話とは何だ。足湯でギャーギャー悲鳴をあげたのと彼にサヨナラはおやすみじゃないと教えたぐらいしかエピソードはないのではないだろうか。あるいは杖がなくてヘロヘロだったとか。
でもほら、私も思いついた事はあった。
「もしかしてT君?」
当たった。
「えっ何で?」
「Gちゃん知ってる? ブルゴスで会った子なんだけど、その子がTって日本人と一緒にいた、って言ってたからそうかなあと」
ああ、とT君も納得顔。
「Gは今レオンにいるんだって。あと知ってる? ※※さん」
「えーっと誰だっけ?」
「ドイツ人の」
「心当たりが二人。どっち?」
「上半身に目立つタトゥーがある人」
「分かった会ってる!」
「その人達も一緒にいるって。だから今日レオンまで行く」
「今日??? えっと、こっから35キロ以上あるよね……」
これからの距離に驚きすぎてT君が今朝どこから来たのか訊いてなかったんだけど、私の泊まってたエル・ブルゴ・レネロは他に泊まるアルベルゲもなかったから、もう一つ前だとしたら今日一日で45キロぐらい歩くのか。
T君はブルゴスで寄り道して他の街へ足を伸ばしたりしてて、でも巡礼路に戻ったら一緒にいたGちゃんや皆に会いたくなったからここ数日頑張ってかなりの距離を追いかけてるんだって。凄いなあ。
どこ出身、とかどこから歩いてる、とかどんな仕事をしててどう予定つけてカミーノに来た、とか自己紹介兼世間話みたいな会話をしながら歩く。私ほぼ日本語しか話せないよって言ったらどうやってここまで来れたのって言われたけどまあ親切な人達とグーグル翻訳のおかげです。
彼もやっぱり宿に一人になっちゃう事は何度かあったって。よけい寒い気がしてきついよねとか言いながら、昼前に途中の町で開いているカフェに入ってコーヒーを飲む。
「ここWi-Fi電波なくない?」
「うん電波ない、けど……」
この辺りで気がついた。山の中ならまだしも大きな街が近いのに相変わらず圏外だな、とさすがに不審に思ってスマホの設定を見直し→いつのまにか「データ通信をしない」にチェック入っているのに気がついた。そりゃずっと圏外なわけだ。
だいたいの宿やバルで、カウンター内の壁とか客室とかに普通にWi-Fiパスワードが貼ってあって客は自由に使えるからあんまり困らなかったんだよね。移動中はダウンロード済みのアプリの地図とMAPMEでGPSさえ繋がってればどうにかなったし。
カフェでゆっくり休憩して、次に歩きだした時がT君とお別れ。なにせ彼は今日はまだ後30キロぐらいは歩かないとレオンへ着けないから。私はもう今日は後10キロぐらいにして、一日遅れで着くからもうT君やGちゃんとは会わないだろう。ほんの数時間だったけど話せて楽しかったよ。
私は一日20キロ弱、が一番楽で充実しているなと思うようになっていた。
Dさんに貰った杖を撮ってみた。結局この杖には巡礼の最後まで助けられ、日本へも持ち帰る事になった。
牛さんを見かける。遠くまで見通せて今日は本当にいい天気!
mansilla de las mulas Gaia Hostel
町に着いたのでアルベルゲを探す。
着いたのは温かくて雰囲気のとてもいいアルベルゲ。6人部屋が幾つかと、廊下に面したダイニングキッチン、それに暖かい季節にはくつろげそうな裏庭があった(しかし今は寒いので見ただけ)
相変わらずJ君と同室。彼とはもう殆ど同じペースで進んでいるようだった。あと夕方頃に自転車で巡礼してるらしき男性が一人。
昼間はいい天気だったけど、日が暮れるととにかく寒い。
あまり遠くへは食事に行くのもきついのですぐ側の店のパスタで済ませた。安かったけど味は正直微妙だった。
明日はついにレオンに着く。
大きな街だし、街を見て回ったり大聖堂を見たりしたかった。あと一日歩かずに身体を休める事も。
一泊目はアルベルゲにする。アルベルゲは連泊は出来ないようだし、身体も相当疲れているのでここでアパートメントホテルを予約する。Booking.comで25ユーロぐらいの所。ちょっといいところに泊まるの楽しみだな。
1/10(水)サアグン~エル・ブルゴ・レネロ
朝ご飯は昨日買ったパンとチーズ。電子レンジで温めるだけでちょっと美味しい……けど失敗だ。これミルクパン的な甘めのやつ過ぎてチーズには合わない!
(結局翌日以降はパンはパンで食べてチーズはおやつにした)
雪がやんだ朝。私も晴れてるうちに距離を稼ぐぞ~って朝8時に出発。でも晴天とはいかなくて霧の中をひたすら進む。
霧もそのうち霧雨になってしまった。昨日の今日でぬかるんでいる所が多いので気をつけて歩く。半端な水溜まりが凍ったりしているのが怖い。
視界はあまりよくなく、来た道も行く先もすぐに見えなくなってしまう。そして相変わらず寒い。
横断は気をつけて、の標識がなんか書き足されて悪魔による少女誘拐みたいになっていた。
午後に一時雨が降り、それが晴れた夕方近くにやっと青空を拝めた。雲は多いけど。
この日は景色を楽しむには午前中の霧が深くて、起伏のない道路沿いの道をひたすら歩いた。でも18キロぐらい。
el burgo ranero Domenico Laffi Pilgrims Hostel
小さめの町に着いた。晴れてはいるけど寒い。
アプリだとこの町の公営アルベルゲにはヒーターが無いらしい。そんなんこの気温じゃ寒くて死ぬんじゃないの、という事でもう一つ開いているはずのバル兼アルベルゲに行ってみる。
「泊まれる?」
「CLOSE」
……バルは開いてるけど泊まりはやってない、と。あそこに行け、と示されたのはヒーターの無いらしい公営アルベルゲ。しかたない。死なないように頑張ろう。
中に入るがホスピタレイロはおらず、J君が一人座っていた。
どうやら不在で受付が出来ない様子。仕方ないので私も待つ。
一階は玄関入ってすぐの広い部屋。隣にキッチン。奥にトイレシャワーらしきドアがある。部屋の中心には暖炉があるが今は火が入っていない。
三十分としないうちにホスピタレイロがやってきた。快活な女性でさくさく受付をしてくれた。5ユーロ。
暖炉に火を入れてもらってほっとする。ホスピタレイロは受付と着火だけしてすぐに出ていったけれど、暖炉に薪を足す為に時々息子さんらしき少年と戻ってきた。
部屋は二階に四部屋。二人しかいないのであえて別々の部屋に入ったらシングルルームみたいなものだね広々している。しかし寒い。超寒い。最初に入った部屋は雨戸を自力で閉められなくて入りこむ冷気が非常に厳しかったので一度移動したけどそれでも寒かった。暖炉の排気パイプが二階を通っているから少しは暖まるはずなんだけどもう本当に少しでしかない。とても部屋にはいられないので荷物整理だけして、書く物を持って階下に下りるとJ君もやっぱり寒かったようで暖炉の前にいた。
日記を書いたりして時間を潰す。近所に小さいスーパーみたいな商店はあるけどシェスタなので16時ぐらいまで何も買えない。
そのうちもう一人来た。韓国人の中年のおじさん。三人揃って暖炉の回りに濡れた靴やら手袋やら置いている。
店が開く時間になったので一度外に出て、それからついでにさっき宿は閉まっていたバルで温かいカフェコンレチェを飲む。暖房があるのはいい……。
やっと天気がよくなってきた夕方。
一度戻ると、後から来たおじさんは買物に出ていたのか不在。J君が、さっきの店で19時から食事やってるから行かない?と。他に食べる所もそんなにないしもちろんOKする。
まだ時間があるのでシャワー……と考えてシャワー室を覗いたが、この寒さとこの建物の造り……私の髪の長さ(なかなか乾かない)で、今日の寒さと暖炉しかないこの状況でシャワーを浴びたら後の寒さで体調を崩しかねない。
という事でシャワー断念。旅の間にシャワーを浴びなかったのはここと、後は後半にもう一箇所だけでした。後から知りあった子はここに別の日に泊まっていて、「あんまり寒くて一緒に泊まった人達はベッドのマットレスを担いで一階に下りて暖炉の回りで寝た」とかいう凄い話を聞けた。
宿帳がある所では読むのも楽しみの一つ。玄関に分厚い宿帳があったので色々見てみる。やっぱり冬は毎日数人しかいないんだけど、一か月程前の12月に日本人の女の子らしき名前を発見。しかし内容が。
「ここネズミさんが住んでるみたいだから、食べ物はちゃんとリュックに入れて寝てね」
怖いなあ……J君にも念の為伝えてから自分の荷物もしっかりしまい込みましたが結局ネズミの気配も私は感じなかった。
寒いとかシャワー無理とか色々ネガティブな事書いてるけど、ここの宿は5ユーロだし寒い季節でなければ値段なりに良いところだと思います。ベッドや部屋は清潔だったし、むしろあの建物の造りは夏涼しそう。キッチンも広めなので食材を持ちこむタイプなら大人数でわいわい調理出来るだろうし。
その暖炉はおじさんがガンガン薪を足すので三人ともなかなか暖炉の側を離れられない。私も少しはお手伝いして火掻き棒の使い方を知ったというか火掻き棒を初めて触った。成程これはミステリの凶器に使われるわけだ。
時間になったので晩ご飯。おじさんは自炊派らしく、また二人でバルに。
今回も二皿選ぶ方式だったので、サラダとビーフ。あとワイン。
あんまり覚えてないけど日記を見返すと肉についてるポテト美味いって書いてあった。
ワイン飲んで身体を温めておかないと寝れないよ、と言いながら二人でワイン一本空ける。がっつり食べて飲んであの寒いベッドに備えるのだ。
アルベルゲに戻る。寝るギリギリの時間まで暖炉の前で過ごして、ベッドに入ったら寝袋の上に備え付けの毛布を掛けて寝た。今日はさすがにダウンを着こんだまま。でもなんだかんだで寝袋に入ったらぐっすり寝られた。